研究課題/領域番号 |
19K00536
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
土屋 勝彦 名古屋学院大学, 国際文化学部, その他 (90135278)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 越境文学 / 比較文学 / 多言語性 / アイデンティティ / エクソフォニー / コスモポリタニズム / 翻訳論 / 他者性 / 移民文学 / 越境作家 / 物語論 / インターカルチュラリティ / 異文化論 / 日独比較文学 / マイナー文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題ではとくにベルリンとウィーンを中心に活動する越境作家たちと数名の日本語越境作家たちに焦点を絞り、移民や複数文化性を背景とする諸作家たちの作品研究を行うことで、東欧と南欧からドイツ語圏への文化的影響の共通性と差異、ドイツとオーストリアの文化的風土の差異、また欧米系作家と中国系作家の日本語表現における言語文化意識の共通性と差異について考察する。
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研究成果の概要 |
日独越境文学の共通する特質として、複数文化の相互影響作用による言語表現の豊饒性と新奇性、語りの複層性、多様性、多文化性など、さらにアイデンティティの移動と複数性が確認できる。両者の差異としては、他者性と異邦性、疎外と政治性の強度の違いが見られる。その背景には、難民や亡命者として移住せざるを得なかった作家たちと、自由意思で異国に潜入した作家たちとの違いにも起因するだろう。前者においては、戦争や紛争のトラウマや 新天地における自己確立への強い意志に切実な実存的問題意識が見られるが、後者はむしろ翻訳や言語表現の可能性への強い関心が確認できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
越境文学の持つ言語表現の新奇性や豊饒性は文学創造の重要な契機となり得る。また差別や排除を無効化する多様性のある社会実現への動機づけとして、越境文学の果たしうる異種混交・多様性確保への志向と創造力を高く評価することができる。戦争や紛争、社会的分断の現状に抗う力のひとつとして、かつての亡命文学や反戦文学と並んで、越境文学の持ちうる対立解消への志向と他者への共感力の喚起は社会的な意義を持ちうる。本研究ではいくつかのシンポジウムを通して、越境文学の持ちうるインターカルチュラルな世界構築へのパトスと意義を共有可能な価値意識として認識できた。各国民文学のカノンや枠組みを相対化する複層的な視点も見出される。
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