研究課題/領域番号 |
19K00547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
堀 博文 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10283326)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ハイダ語 / 北米先住民諸言語 / 語性 / 言語接触 / 言語領域 / 類別辞 / 形態論 / 系統論 / 北米先住民諸語 / 音韻論 / 統語論 / 所有構造 / 複文構造 / 語 / 音韻的な語 / 言語類型論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州のハイダ・グワーイで話されるハイダ語の文法記述を目指すものであり,その統語現象のうち,単文における語の配列順序,従属節の種類とその核となる述語の構造,更に,焦点標識を含む談話標識の機能を明らかにすることを主たる目的とする。研究の遂行にあたっては,毎年度,数週間ほど現地に滞在し,話者数名の協力を得ながらハイダ語の一次資料を蒐集するとともに,過去のハイダ語の資料の整備と再分析を行なう。また,本研究課題で得た成果を現地のハイダ語教育に還元するための方途を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州北西海岸地域のハイダ・グワーイで話されるハイダ語の文法記述を行ない,その全体的な理解を得ることを主たる目的とするものである。今年度は,主に,①ハイダ語の語性について,更に,②ハイダ語の数標示と所有構造という統語現象を中心に北西海岸地域における言語接触について,考察を行なった。 ①については,音韻的な面として母音延長規則,形態的な面として形態素間の緊密度と形態素同士が結びつく際に生じる形態音韻的変容の度合いを取り上げ,そのそれぞれについてハイダ語の語を構成する様々な語根や接辞などの形態素の振る舞いを分析し,それらの両面,すなわち,音韻的な結びつきによって生じる単位と形態的な結びつきによって生じる単位の間にずれがあることを明らかにした。更に,そのようなズレが生じたのは,かつてのハイダ語において,形態素の種別があまり厳密ではなかったからであることを指摘した。 一方,②については,従来から指摘されていた二つの統語現象,すなわち,ハイダ語における無差別的数標示と迂言的所有構造が,北西海岸地域の北部のイーヤック語や更にその北のアリュート語,加えて,部分的に近隣のトリンギット語と共有されている事実を取り上げ,その背景にある歴史的な要因について考察した。 現地調査が思うように進められない中において,現地調査の缺を補うために,これまでの調査で得たテキスト(談話資料)の分析や20世紀の初頭にJohn Swantonが収集したテキストの再分析を継続的に行ない,ハイダ語の情報構造に関する基礎資料の整備を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主に過去の自身の研究あるいは先行研究を駆使するなどして一定の成果が得られているものの,本研究課題を遂行するには,やはり現地調査によってハイダ語話者から資料を直接得ることが必要不可欠である。特に文法に関わる事項を明らかにするためには,現地調査によってしか話者から聞き出し得ないことも多い。 このように現地調査が十分に遂行できていないという点からみて,進捗状況がやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスによる影響が小さくなった現在,今後は,現地調査を行なうことによって,話者から資料を直接得ることができるようになり,そうなれば,一定の成果が得られることが期待できると思われる。しかし,一方で,新型コロナウイルスの感染が再拡大した場合や現地の状況の変化によっては,調査が遂行できなくなることも十分考えられるので,そうした場合に備え,これまで自身が蒐集した資料に加え,過去になされた研究資料を活用するなど,現地調査の代替手段も引き続き検討しておきたい。
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