研究課題/領域番号 |
19K00548
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
綾野 誠紀 三重大学, 人文学部, 教授 (00222703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統語論 / 所有者外置 / 上昇 / コントロール / 所有者句外置構文 / 移動分析 / コントロール分析 / 名詞句 / 比較統語論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ヒトの言語機能の重要な特性である「移動」について、文と名詞句との平行性の観点から検討する。極小主義理論発展の過程において検討されたコントロール構文の移動分析を受け、所有者句外置構文を同様の観点から検討する。所有者句外置構文では、所有者句が被所有句と離れた文内位置に現れるものの、その所有者として解釈される。この被所有句が、コントロール構文における埋め込み文に相当すると考える。本研究では、所有者句外置構文について、コントロール構文と比較・対象することにより、項構造、機能範疇、素性照合、解釈部門への情報転送の単位等の観点から、「移動」及びそれを支える言語機能の解明に寄与することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究プロジェクトでは、文レベルのコントロール構文(例: John expects to win) 及び上昇構文(例: John seems to win)のそれぞれに相当すると考えられる所有者句外置構文を同定し、新事実を提示することを目指すと共に、それらの所有者句外置構文の統語特性を明らかにすることを目的としている。前者のタイプの所有者句外置構文については、Funakoshi (2017)によって、また後者については Deal (2013)や Kishimoto (2013)によって新事実が提示されている。2023年度は、2022年度に引き続き、文レベルのコントロール構文内補文の統語特性を明らかにすることにより、コントロール構文に相当すると考えられる所有者句外置構文の被所有句の内部統語構造との並行性を検討することを目指した。コントロール構文内補文の統語特性の中でも特に定形性及び補文のサイズについて考察した。関連する補文の中でも、形式名詞を主要部とする義務的コントロール構文内補文の統語特性について、主題化、最上級形容詞のスコープ解釈との共起に基づき再検討した。その結果、義務的コントロール構文内補文は非定形の特性を示すこと、また、非義務的コントロール構文の補文との比較において、節サイズが小さいことを確認することができた。コントロール構文の補文の統語特性に関する研究成果については、国際研究集会において報告すると同時に、論文としても刊行した。さらに、非顕在な所有者句の上昇について、名詞句削除との関連で検討し、成果の一部を研究会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染による国際研究集会での研究成果報告取り消しがあり、研究成果に関するフィードバックを十分に得ることができなかったが、その他については概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までは、コントロール構文に相当すると考えられる所有者句外置構文を同定することを目指した。所有者句が非顕示的に外置されていると考えられる事実についても再検討し、先行研究で提案されている派生の問題点についても明らかにした。本研究プロジェクトの最終年度である2024年度は、上昇構文に相当すると考えられる事実を同定することを目指し、さらに、これまでの研究成果を総括した上で、所有者句外置構文の中でもコントール構文に相当するものと、上昇構文に相当するものとの判断基準を示す予定である。
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