研究課題/領域番号 |
19K00554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
高橋 英也 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90312636)
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研究分担者 |
江村 健介 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 助教 (60757128)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 日本語 / 東北方言 / 形態統語論 / 分散形態論 / ヴォイス / 可能動詞 / 受動態 / 名詞由来派生動詞 / ラ行五段化 / 活用母音 / 挿入子音 / エ足す可能形式 / ラル/ラレル/ラサル / 短形受動文 / 繋属述語仮説 / Get仮説 / 統語論 / 方言 / 質問紙調査 / 心理実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「ラ抜き言葉」や「レ足す言葉」、岩手県宮古市方言で用いられる能力可能形式「エ足す言葉(例:読めえる)」といった、日本語の可能動詞の形式に見られる「方言多様性」と、それを実現させる日本語母語話者の「文法知識の獲得」を、日本語の膠着性の理論的定式化という観点から考察する。特に、語彙の形態分解と文法構造の階層性の間に一定の対応関係が存在することを標榜する分散形態論(Marantz 1997他)の枠組みを用いて、日本語の可能動詞化を具現するラレ/rare/が2つの独立した形態素(r)arとeに分解されるとの作業仮説に立脚し、可能動詞の諸相に広く目を配った、多角的かつ統合的な研究を実施する。
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研究成果の概要 |
本研究では、日本語のヴォイス形式におけるRAREの方言多様性について、文法構造における機能範疇の役割という観点から考察を行った。特に、共通日本語と東北方言の差異に焦点を当て、(i) 可能・受動を具現するレ/re/とラレ/rare/を構成する形態素として/r/, /a/, /e/の存在を仮定し、分散形態論の枠組みの下で、その形態統語的役割について提案を行った。同時に、伝統的な自発起源説の洞察に基づき、可能と受動にまたがるRAREの統一的な形態統語分析を提示した。また、RAREの形態統語派生に関する理論的考察から得られる予測や帰結について、質問紙調査や聞き取りによる実証的研究による検証を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、東北方言のヴォイス述語の形態統語派生を理論的・実証的な見地から精査し、方言多様性を保証し共通日本語との差異をもたらす文法的要因を明らかにすることを試みた。ヴォイスは言語研究において中心的テーマの一つであり、先行研究による膨大な知見の蓄積がある。しかし、先行研究では、受動ラレ・使役サセのように、ヴォイス形式を形態素との単純な対応において捉えるタクソノミー的分析がほぼ例外なく援用されてきた。本研究は、方言文法の多様な可能・受動形式について、それぞれが独立した特別な形態素などではなく、むしろ、原理的に利用可能な構成要素間の組み合わせ原理の帰結として捉え直すことができることを示した。
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