本研究では,最小対(ミニマルペア)に特徴付けられるような音韻的対立・語彙的な区別に注目し,これらが対象となる言語要素の実現の仕方や分布の仕方にどのような影響を与えるのか,そのパターンについて,大規模コーパスを用いて調査する。日本語における①母音・子音の長さの対立,②アクセントの対立,③有声・無声の対立に注目し,対立を担う(最小対を持つ)場合とそうでない場合で実際の発話での実現形・分布に違いがあるかを調べる。この調査・分析に基づき,発話における最小対,対立・区別の効果について,共時的なパターンを明らかにし,更にこれらを通言語的・通時的観点から比較・検討し,普遍的な特徴についての知見を得る。
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