研究課題/領域番号 |
19K00573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
早稲田 みか 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 名誉教授 (30219448)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ハンガリー語 / 動詞接頭辞 / 文法化 / 一方向性仮説 / モダリティ |
研究開始時の研究の概要 |
ハンガリー語動詞接頭辞の分析をとおして、文法化と呼ばれる言語変化にみられる傾向や特徴を明らかにし、そのプロセスの背景にあるメカニズムをメタファーやメトニミーといった認知言語学の枠組みを利用して説明する。完了アスペクトからモダリティ的意味あるいは語用論的意味が派生する可能性を検討し、内容語から機能語へと変化する文法化の「一方向性仮説」に対する反証になりうるかを考察する。成果をハンガリー語の記述およびハンガリー語教育に役立てる。
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研究成果の概要 |
ハンガリー語の動詞接頭辞 meg は、「うしろへ」という移動の方向を表す語彙的要素が文法化して完了アスペクトを付与する機能的要素へと文法化したとされている。この動詞接頭辞 meg の意味用法を調査した結果、「ついに」「やっと」「うっかり」などといった話者の事態にたいする感情や評価が表現されている事例が観察された。これは完了アスペクト付与からモダリティ的意味あるいは語用論的意味が派生していると考えられ、日本語の「てしまう」の用法との共通点があることも確認できた。この事象は、文法化とは分けて、主観化による語彙化と捉えるべきで、内容語から機能語へという文法化の「一方向性仮説」に対する反証になりうる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義としては、ハンガリー語の動詞接頭辞が文法化によって完了アスペクトを表すようになり、さらにそこからメトニミーにより、完了した出来事や行為と同時に生じる話者の感覚や感情、評価が結びついて、モダリティ的意味を派生していること、日本語の「てしまう」との共通性があること、文法化や主観化、語彙化など、広く言語一般に観察される言語変化のメカニズムに普遍性があることなどが指摘できたことがある。社会的意義としては、ハンガリー語の記述、ハンガリー語・日本語辞書の作成、および日本におけるハンガリー語教育おいて実践的に役立てることができることが挙げられる。
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