研究課題/領域番号 |
19K00574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金水 敏 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70153260)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 役割語 / 翻訳 / キャラクター / 日本語 / フィクション / 村上春樹 / ジブリアニメ / 小説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、フィクションの登場人物の発話が表現する人物像に着目し、これを「役割 語・キャラクター言語」の観点から分析するとともに、その翻訳の(不)可能性や代替手段について研究し、人物像の描写の観点から見た翻訳の評価について探求を進める。具体的な方法としては、村上春樹の小説作品の各国語訳と原典との対照、またさまざまな外国語作品の日本語訳の分析を語彙・文法等言語学的な観点から進めるとともに、発話以外の部分や非言語的な側面、また物語の構造とアーキタイプ等にも着目して進めていく。
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研究成果の概要 |
本研究は、日本語と他言語の間におけるフィクションの翻訳の技法について、個別の作品の分析を通じて一般化を試みることを目標として、主として村上春樹の長編小説作品を取り上げた。具体的には、村上作品に現れる方言、特定語彙、特定の登場人物の話し方とその英語訳・中国語訳の実態等について調査した。 また研究の基盤となる「キャラクター」の理論的考察についても考察を進めた。結論として、《キャラクター》を人物の属性全般とし、その一部の言語的特徴として役割語・キャラクター言語が位置付けられること、属性である《キャラクター》と、唯一性を担う《人格》が一体となってインディビジュアルを形成することなどを提案した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アニメ、マンガや村上春樹の小説等は、日本が世界に誇る文化資源であるが、これらの作品には役割語がふんだんに用いられていて、作品の魅力の一部をなしている。しかし日本語の役割語の他言語への翻訳は、一般的に極めて困難であることが本研究によって明らかとなった。では、役割語を直接翻訳することに代わる手段をどのように探るべきか。この点について本研究は、キャラクターがフィクションを読み解く際にどのような機能を果たすかという原理的な考察を深めることによって、その可能性を示すことができると考え、その方向性を提示することに成功した。
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