研究課題/領域番号 |
19K00575
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
塚本 秀樹 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60207347)
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研究分担者 |
堀江 薫 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70181526)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 日本語 / 朝鮮語/韓国語 / 動詞 / 名詞 / 対照言語学 / 複合格助詞 / 名詞修飾節 / 人称詞 / 指示詞 / 形式名詞 / 連用形 / 名詞指向性/動詞指向性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,日本語と朝鮮語で特に「動名詞(verbal noun)」と見なされる品詞がかかわる形態・構文や現象に着目して,対照言語学からのアプローチで考察することにより,「動詞」と「名詞」の両品詞が各言語でどのようにかかわり合っており,また各言語の文法体系全体においてどのように位置づけられるのか,ということを解明することである。 また,本研究は,実際に使われている日本語と朝鮮語の例をコーパスや新聞・雑誌・小説などから収集したり,朝鮮語については母語話者に対する入念なインフォーマント調査を行ったりすることによって得られた豊富なデータに基づく。
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研究実績の概要 |
研究代表者の塚本は,次のことを明らかにした。 日本語における複合格助詞は,動詞が用いられたものと,名詞が用いられたものに二大別できる。一昨年度は,前者の,日本語における動詞が用いられた複合格助詞で,単一格助詞「に」及び「を」を伴うもののうち,これまでまだ取り上げていなかった「~につけて」「~に伴って」や「~をおいて」「~をめぐって」などと,それに対応する朝鮮語の表現について対照言語学からのアプローチで考察を行った。 本年度は,昨年度に引き続き,それを土台として,これまでまだ探究していなかった,後者の日本語における名詞が用いられた複合格助詞に焦点を当て,「~のおかげで」「~のくせに」「~のせいで」「~のために」「~のついでに」などと,それに対応する朝鮮語の表現に関する考察に着手した。名詞が用いられた複合格助詞については,朝鮮語よりも日本語の方が種類も多く,活用されていることが明らかになりつつある。また,こういったことは,日本語は名詞中心的な表現をとるのに対して,朝鮮語は動詞/形容詞中心的な表現をとる,といった,他の現象について考察することで明らかにされている様態と一致するものである。 研究分担者の堀江は,次のことを明らかにした。 日本語と朝鮮語における名詞修飾節のうち,寺村秀夫氏が「相対補充」タイプと名付けた「隣」「翌日」「結果」のような「相対名詞」を主要部とする名詞修飾節を対象として,語用論的推論が構文の意味解釈にどのような役割を果たしているかについて考察した。その結果,相対名詞修飾節構文において語用論的推論が果たす役割は朝鮮語よりも日本語の方が広範囲であることを明らかにした。 また,日本語と朝鮮語における名詞構造の中で「指示詞」と「人称詞」に着目し,日本語は,朝鮮語に比べて,話し手と聞き手の両者の共同注意が関与する間主観的な用法がより発達していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の塚本は,昨年度に引き続き,今年度も所属機関において新型コロナウイルス禍の感染拡大防止に対応する管理・運営の任務で超多忙であったため,本研究課題を遂行する時間をほとんど確保することができない状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの進捗状況】の項目で記した状況であるため,「(F-14-CV)補助事業期間再延長承認申請書」を提出し,承認された。今後は,それに伴い,本年度に行うことができなかった考察を精力的に進め,本研究課題全体を取りまとめる作業に注力する。
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