研究課題/領域番号 |
19K00576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
児玉 望 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (60225456)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アクセント史 / 核種変更 / 上げ核祖体系 / 位置アクセント / 昇り核化 / 複合動詞 / 波理論 / アクセント / 発話 / 句末イントネーション / 文末詞 / 語声調 / 韻律構造 / 構造主義 / 系統仮説 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語アクセントが祖語に遡る音韻特徴であることの発見と、現在のさまざまな方言アクセントを生み出した音法則的なアクセント変化の解明をめざす研究は、100年を越える蓄積をもつが、いまだに全貌の解明には至っていない。本研究では、構造主義的な観点からこの問題を解決することをめざし、談話音声資料の収集と分析を行なう。
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研究実績の概要 |
日本語方言アクセント諸体系のうち、位置アクセント体系については、核の位置ではなく核の種類の変更により共通の祖体系から分岐したとする仮説に基づいて、アクセント変化史の再建を続けてきた。 2022年度、祖体系にあった境界特徴を不安定なくぼみ音調であったと仮定することにより、この解消の過程が3種類であり、名詞類のくぼみ音調をもったと考えられる1-2類、2/3-2類のそれぞれで、そのうちのどれが選択されるかによって、外輪・中輪・内輪の不連続な分布が生じたとする結論を得たが、2023年度は、中輪・内輪体系に特徴的な、3-6類の無核化を引き起こした音韻変化が、祖体系の下げ核が昇り核を経て下げ核化したか、降り核を経て下げ核化したかのいずれかにより、核のピッチ変化の逆転を伴う前者では3音節以上の核次次音節にHが要求される位置では名詞・動詞に関わりなく起きうるのに対し、後者では「山の一拍ずれ」の不生起である後者では、語頭核となる3拍語に限ることに着目し、東京方言では複合動詞「山田の法則」として知られる前分が有核型(第2類)動詞の複合動詞が、昇り核化を経た下げ核化の証拠となりうることを論じ、位置アクセント体系の記述研究と、談話音声資料で無核複合動詞がどのような構成の複合動詞に現れるかを検証し、地理的には不連続な、東日本中輪、三遠地方の(内)外輪、中国地方の内輪・中輪・(内)外輪の諸体系での出現を確認した。 内輪・中輪・外輪の類型が、系統分岐の分枝ではないことを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
位置アクセント体系において、核の種類の変更の結果として諸体系の分岐を説明することについては、福井・隠岐のような、脱位置アクセント化した体系を含め、ほぼ完了している。上げ核体系からの下げ核化について、通説が「降り核化を経た下げ核化」として説明できるのに対し、「昇り核化を経た下げ核化」を経た体系があることや、この過程を経たと考えるべき証拠としてのアクセント上の特徴に何があるかも明らかにできたと考えられる。 岩手県北東部の種市中野方言が降り核体系である可能性を、この方言の談話音声資料の観察から2018年に指摘していたが、上野善道(2024)の現地調査で降り核体系であるという分析が出された。現存しないとされてきた降り核体系の実在は、核種変更によるアクセント史の再建を支持する有力な証拠となりうると考える。
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今後の研究の推進方策 |
位置アクセント祖体系が、拍の等時性の確立によって、ピッチ変化のうちの位置対立のみしか維持できなくなるという改新を招いた、という仮説から、九州西南部・琉球語の語声調体系は、この改新を経ず、語声調の3型祖体系への改新を経た、と考えることになる。九州西南部の語声調体系には、鹿児島方言のように拍の等時性が観察できないものと、北部九州の拍の等時性が観察されるものとに分けられる。「等時性」の分析は、方言アクセントでも、また、一般音声学的にも研究が進んでいるとはいえない分野であると考えられるが、これに関わる諸現象の分析を行なっていく。
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