研究課題/領域番号 |
19K00587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西脇 麻衣子 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (60613867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 古高ドイツ語 / 中高ドイツ語 / 接続法 / 従属節 / 不定代名詞 / 再帰代名詞 / 話法の助動詞 / モダリティ / エビデンシャリティ |
研究開始時の研究の概要 |
モダリティは話し手がことがらをどのように捉えているかを表す意味論的なカテゴリーであり、ドイツ語では主として話法の助動詞、話法の副詞、心態詞、そしてムード(特に接続法)がその表現手段である。本研究課題では、古高ドイツ語期から一貫して観察することのできる話法の助動詞と接続法を中心に、これらの異なる表現形式がドイツ語史の各々の言語段階においてそれぞれどのようなモダリティを表してきたか、また、それらが機能上どのように互いに連関してきたのかについて通時的に研究することを目的とする。さらに、モダリティが時制やアスペクト、エビデンシャリティ、否定とどのように関わっているかについても明らかにしていきたい。
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研究成果の概要 |
本研究ではまず、否定表現のある統語環境においてムードがどのように示されているかを中高ドイツ語のテクストを対象に分析し、文否定の3タイプと従属節のムードとの間に相関関係があることを明らかにした。コーパス分析を進める中で、肯定形式でない統語環境に古高ドイツ語の不定代名詞wihtが高い頻度で属格名詞を伴って現れることに気づき、当初の予定を変更して検討した結果、wiht+属格には、主格や対格での表示と対照的に、指示対象の不特定性を際立たせる役割があることが分かった。また、従属節における再帰代名詞の先行詞が主節に明示されている場合、従属節のムードの選択に影響が出るのではないかと考えられることも示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
モダリティは様々な言語において活発に研究されている領域であり、ドイツ語においても個々のモダリティ要素や隣接領域(時制、アスペクト、エビデンシャリティ等)との関わりについて通時的・共時的な研究が多く行われている。本研究では、モダリティ標識の一つである接続法が現れる統語環境を分析し、古高・中高ドイツ語では、接続法の使用が否定の作用域や再帰代名詞の照応の範囲に関与すること、また、接続法が関係節内で用いられる場合、先行詞の非特定性が表される可能性についても示した。本研究は、接続法とモダリティ以外の文法カテゴリーとの関わりについて考察し、先行研究とは異なる視点からモダリティ研究に寄与したと考えられる。
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