研究課題/領域番号 |
19K00592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
相良 啓子 国立民族学博物館, 共創促進研究国立民族学博物館拠点, 特任助教 (90748724)
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研究分担者 |
原 大介 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00329822)
菊澤 律子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 教授 (90272616)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 歴史言語学 / 日本手話 / 台湾手話 / 韓国手話 / コーパス / 意味の変化 / 手話言語学 / 音韻論 / 形態論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、歴史的に関連がある日本手話、台湾手話、韓国手話(日本手話ファミリー)の語や表現における意味および用法の変化を明らかにし、これら3つの手話言語における史的変遷を体系的に示すことである。具体的には、これまで研究代表者が収集した3手話の手話語彙のデータに言語学的情報の記述を加えて比較可能な形にする。語彙のみでなく、話者同士の会話のデータを収集および分析し、3手話に形が共通してみられる表現が、意味や概念の面でどのような違いがあるのか、話者の年代ごとに分析する。これらを視覚的に比較が可能なコーパスを作成する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、これまで収集したデータに基づいた分析を進め、研究成果発表を国内および米国で開催された国際手話言語学会で行った。まず、9月に国立民族学博物館で開催されたthe 14th Theoretical Issues in Sign Language Research conference (TISLR14)で、「Diachronic change in Japanese Sign Language, Taiwan Sign Language and South Korean Sign Language: Focus on kinship terms」をタイトルとして発表を行った。意味の変化については、「男たち」「女たち」の複数形として韓国に行き渡った両手の表現が、韓国では、複数形としても単数形としても使用できる一般化になった例を示した。続いて、11月にニューメキシコ大学で開催された15th Biennial Desert Linguistics Society (HDLS15)で、「Variation within and between sign languages in Japan, Taiwan and South Korea: The impact of language contact」をタイトルとして発表を行った。韓国手話は韓国語と、台湾手話は中国語および中国手話との言語接触によって語の意味が変わる例を示した。そこでは手話の「語族」の概念についても議論された。ニューメキシコに滞在中、現地の研究者と手話言語学における歴史変化について議論した。 執筆に関しては、研究分担者の原と打ち合わせを行い、「手話言語における言語接触」についての論文を共著で執筆中である。 国内での調査については、大阪の高齢話者と面会し、話者同士の会話を収録し、現在分析を進めている。その中で、特に「本当」「構わない」「上手」の表現に若者手話と意味の違いがあり、台湾手話、韓国手話と意味や用法を比較する方向性ができた。 台湾および韓国での調査においては、コロナ感染も関係して、年度内の調査はかなわなかった。今後の調査の方針とGlobal Signbankの展開について、台湾および韓国の手話言語学者と議論を行い、現在、令和5年度の調査に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナが落ち着いてきているものの、台湾および韓国の高齢手話話者を対象とする調査はなかなか実現できずにいる。これまで収集したデータの分析とその成果発表は行えているが、意味の変化を深めるためには、自然発生の会話データの収集が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、国内および韓国(7月)、台湾(10月)に、それぞれフィールド調査を予定している。それまでに国内での調査および分析を進め、年度末までには研究のまとめを行える予定である。
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