研究課題/領域番号 |
19K00597
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山崎 亜希子 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授(任期付) (80821850)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 慶尚道方言 / アクセント / VOT / F0 / 学習者発話音声分析 / 平音 / 激音 / 濃音 / 高周波数帯域の強度 / 音声学 / 朝鮮語 / 方言類型論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、朝鮮語慶尚道方言を対象に、語頭における閉鎖音の3系列(平音・激音・濃音)の対立を支える音響特徴を明らかにすることである。近年、ピッチアクセントを持つ慶尚道方言でも、ソウル方言と同じように、激音と平音におけるVOTの近接が報告されているが、慶尚道方言では、F0をアクセント対立に用いるため、F0が子音対立の音響的cueとしては使用しにくい。よって、いかなる音響特徴で3系列の対立を保っているのかが問題となる。本研究は慶尚道方言の3系列と音響特徴の関係を総合的に調査し、音声学的方言類型論の観点から3系列の対立メカニズムを解明する。
|
研究実績の概要 |
1)COVID-19の影響により、韓国および日本国内での大規模な対面録音データ収集は難しい状況であったため、2022年度に引き続き、すでに入手済みの朝鮮語慶尚道方言(大邱 方言・釜山方言)および朝鮮語ソウル方言話者データの分析を進めた。2022年度から始めた摩擦音の2系列(濃音、非濃音)のデータを用いて、3つの音響パラメータ(VOT、F0、子音区間の高周波数帯域の強度)分析し、ソウル方言の特徴と対照、相違点の記述を進めた。
2)2023年度も同様、2021年から新たな試みとして着手した、日本語母語話者による朝鮮語(韓国語)学習者の朝鮮語音声の分析と音響特徴の記述を進めた。学習者の発話音声を収集し、音響パラメータの中からVOTとF0を中心に分析し、さらに学習者音声のF0(声の高さ)を変えた合成音声を作成し、それらを用いて朝鮮語母語話者(ソウル方言話者)を対象に聴取実験を行った。実験を通じ、朝鮮語母語話者が学習者音声を聞いて、どのような特徴を手がかりに子音判断をしているかを考察し、その結果の一部を国際学会で発表した。 学習者の発話音声分析を通して、朝鮮語母語話者とは異なる音響特徴が表れていても、正しく認識される(正しく聞き取ってもらえる)事例が観察された。これは、朝鮮語母語話者の観察だけでは知ることができなかった知見であり、今後の研究の新たな方向性を再確認できた。2024年度も引き続き分析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年に引き続き、COVID-19の影響により、計画していた韓国および日本国内での大規模な発話データ収集ができなかった。その代わりに、感染対策に留意しつつ学習者の発話データを収集し、分析を進めることができた。これまで蓄積していた既存データ(ソウル方言、慶尚道方言)も活用しながら、学習者音声データとの対照・分析を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで蓄積していた既存データ(ソウル方言、慶尚道方言)を活用しつつ、定性的な観察を通じて被験者個別の子音体系記述を重点的に行い、引き続き、子音体系という観点から解釈・検討することを目指す。また、2022年度に引き続き、学習者における朝鮮語音声バリエーションにも注目し、子音対立を保つ音響特徴について、ソウル方言および慶尚道方言話者データとの対照しながら、考察を進めていく。
|