研究課題/領域番号 |
19K00611
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
吉田 浩美 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (70323558)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | バスク語 / 地域変種 / 世代間の違い / 文法 / 語彙 / 現代バスク語 / 世代間変種 / 動詞語彙 / 動詞述語の用法 / バスク語諸方言 / 音韻 / 言語学 / 方言 |
研究開始時の研究の概要 |
スペイン領バスク自治州ギプスコア県ウロラ・コスタ地方で話される現代バスク語の諸方言の音韻と文法(形態・統語)について,各方言間の地域差に基づく相違はもとより,世代間の相違にも着目しながら記述を行う.この地方の方言に関しては,すでにアスペイティア方言,セストア方言,サラウツ方言について調査を行っているが,これらに加えて,同地方の他の主要な地域変種であるアスコイティア方言,スマイア方言,エレシル方言について調査・研究することにより,すでに調査済みの上記の3方言と併せて,当地方のバスク語の様相を「地域間変種」,「世代間変種」という二つの面をクロスさせて総合的に捉えることができると考える.
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研究実績の概要 |
2020年度は,世界的パンデミックにより中断を余儀なくされていたフィールドワークを再開することができた.それにより,研究テーマに沿い,スペイン領バスク自治州ギプスコア県の自治体アスペイティアにて,バスク語アスペイティア方言の親世代と子世代のバスク語の相違について調査を行った.調査内容は,(1)「au(これ)・ori(それ)・ure(あれ」の3系列から成る代名詞および再帰形・強調形であるbeaの用法,(2)「これほど・それほど・あれほど」「こんな・そんな・あんな」「こんなに・そんなに・あんなに」などに相当する語の用法,(3)数詞bat「1」の用法,(4)疑似受動態の使用状況について,親世代と子世代の母語話者に質問・聞き取り調査を行った.また,2022年度以前に得たデータを補足するための調査も行った.このうち,(3)については時間が足りず十分なデータがまだ得られてない状況である.その他の3テーマについて得られたことは次のとおり:(1)世代では指示的な代名詞と再帰形・強調形の区別が明確に保たれているが,若い世代では人間を指す場合は,本来の再帰形であるbeaが再帰的な文脈でなくとも多用される.これにより,若い世代ではその代名詞の指示対象を知るには,親世代に比べて文脈に依存するよりないケースが多くなっている.(2)については「これ」の系列の語が親世代・若い世代ともに廃れていることがわかった.特に若い世代ではどのような場合でも「あれ」の系列が多用されている.(4)については,話し言葉レベルではこの方言では世代に関係なくほとんど使用されていない. 今回の調査から得られたデータを分析し考察した結果の一部は,一つの論文と一つの口頭発表にまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の基盤となるのは当該言語が話されている現地へ赴いてフィールドワークを行い,それによって収集したデータであるが,世界的パンデミックのため,2020 年度と2021年度にはフィールドワークができなかった.オンラインにより多少の調査はできたが,時差の関係などから質量ともに到底満足いくような成果は上げられず,じゅうぶんな研究データが得られなかった.研究基盤となる生のデータが不足したため,そこで研究自体が停滞することとなってしまった.
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今後の研究の推進方策 |
現地フィールドワークが可能となったので,従来のようなデータ収集を行う.2022年度は1自治体(1方言)に限られてしまったが,2023年度は他の地域変種においても親世代・子世代の世代間の相違に着目してデータ収集を行う予定である.当初からの目的である,地域間の相違という面と,世代間の相違という面の二つの側面からスペイン領バスク自治州ギプスコア県ウロラコスタ地方の現代バスク語の動態を立体的に探ることを,引き続きの目標とする.
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