研究課題/領域番号 |
19K00613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
平山 真奈美 成蹊大学, 文学部, 教授 (90580027)
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研究分担者 |
ホワン ヒョンギョン 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80704858)
加藤 孝臣 上智大学, 言語科学研究科, 准教授 (20548151)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ダウンステップ / 日本語 / OCP / 形容詞 / 語順 / 統語 / 知覚 / 名詞句 / 韻律構造 / インターフェイス / 品詞 / プロソディー / 意味 / 情報構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ダウンステップは通言語的に観察される音声現象である。本研究では、日本語におけるダウンステップにおいて、発音、知覚、意味解釈が、文の音韻構造、統語構造、情報構造によってどのような影響を受けるかを、実証的に研究する。また、ダウンステップの定義あるいは判別方法について再考し掘り下げる。これらの点は、先行研究で未だ本格的に議論されていないか全く手付かずであることから、本研究はダウンステップのメカニズムを解明する研究として学界に貢献する。また、音韻、形態、統語、意味という言語研究の要をなす分野のインターフェイス現象を扱うことにより、言語が構造とどのように関わるのかを説明する各分野の理論構築にも貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究は、通言語的に観察される韻律現象であるダウンステップについて、特に日本語をとりあげ、発音、および知覚、意味解釈が、文の音韻構造、統語構造、情報構造によってどのような影響を受けるかを、特に以下の3点から議論している。(1)品詞によりダウンステップの産出パターンが異なるという仮説を検証し、またダウンステップの判別方法について議論する。(2)ダウンステップの有無およびその程度が知覚にどのような影響を与えるのか明らかにする。(3)文の意味解釈におけるダウンステップの果たす役割を調査する。 いずれに関しても成果発表を行ってきたが、令和5年度は、前年度より取り組んでいた(1)に関する課題を二つ研究した。一つ目は、同じ語尾の形容詞が修飾語として続く名詞句と、異なる語尾の形容詞が修飾語として用いられる名詞句を比べた場合、前者の方が後者よりも名詞句全体のpreferenceが下がるという実験結果を受けて、同じ語尾を繰り返すことを避けるという意味でObligatory Contour Principleが働いているのではないかという分析のもと、ダウンステップの程度もそれに並行したパターンを見せるかどうかを産出実験にて調査するものである。結果としては、そのような並行したパターンが見られるという解釈も可能であるものの、調査するアイテム数を増やし更なる検証が必要であるという結論に至った。令和5年度は、この結果を学会にて発表し、予稿集への掲載論文を提出した。 もう一つは、派生課題として出てきたもので、日本語の名詞句において主要部の名詞を修飾する語の語順に傾向があるのかを調査する研究である。先行研究やこれまで得たフィードバックをもとにして、実験文をより精査し、オンラインにて実験を行った。その結果、先行研究の一般化に疑問を投げかける新たな結果が得られた。この研究成果を発信すべく準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年に引き続き、当初計画のうち知覚実験と方法論的な問題に取り組むことに少し遅れが出ているため、前年度と同じく「やや遅れている」の判断をした。しかし、この遅れは、そこでも説明したように、研究を進めていくうちに、それまで取り組んだ課題に関して更に深く精査する必要性や派生課題が発生し、それらの研究を優先させる判断をしたためであった。令和5年度は、これらの課題を進め、成果を出すことができた。このことは、ひいては全体の課題により深く取り組むこととなり、これらの課題の優先的に扱うという判断は間違っていないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は当初の予定では本研究の最終年度であったが、研究期間を1年間延長し、取り組んだ課題の成果発信を引き続き行っていく予定である。
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