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命題態度動詞の「補部」の形式意味論研究:時制・相・法の観点から

研究課題

研究課題/領域番号 19K00617
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02060:言語学関連
研究機関関西学院大学

研究代表者

楠本 紀代美  関西学院大学, 文学部, 教授 (50326641)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード形式意味論 / 時制 / 命題態度動詞 / 補文標識 / 捕文標識
研究開始時の研究の概要

「思う」などの命題態度動詞の目的語節(日本語の「と」節や英語のthat節)は、同じ目的語として扱われながら、名詞句とは異なる文法的・意味的振る舞いをすることが知られている。例えば、これらの目的語節には、関係詞節や副詞節にはない時制・相・法の制限があり、制限がない場合にも意味解釈の違いが見られる。本研究では日本語やスペイン語のように「~かと思う」のようにthat-節のなかにwh-節が埋め込まれた形式が可能な言語、日本語やトルコ語のように「と」「の(を)」など複数の目的節の形を持つ言語などを研究対象に含め、多角的な比較言語学的視野から、命題態度動詞とその目的節の意味的・統語的特徴を明らかにする。

研究実績の概要

命題態度動詞の「補部」節(いわゆる英語のthat-節に相当する節)は、当該動詞の直接目的語となる動詞補部として扱われるのが一般的である。しかし、その統語的および意味的立ち位置は、同じく直接目的語となる名詞句と比べて不明瞭である点が多い。本研究は日本語やスペイン語のように「かと思う/尋ねる」のように見た目上that-節のなかにwh-節が埋め込まれたような形式が可能である言語、日本語やトルコ語のように「と」、「の(を)」「こと(を)」など疑問形ではない補文標識を複数持つ言語などを研究対象に含め、多角的な比較言語学的視野から補部節の意味的・統語的特徴を明らかにすることを目的とする。実施計画で述べた「(C) 比較言語研究:Anand & Hacquard(2014)では、英語の補文をとる動詞を心理態度動詞と発話動詞に分類すると、事実動詞は前者にのみ含まれ後者には含まれないという傾向が示され、これは偶然ではなく動詞と補部の意味から自然言語全体に予想される結果であるとされている。」という仮説に対し、英語以外の言語データをもとに検証する。
英語のように叙述補文がthatに導かれる1種類のみ存在する言語と比べ、日本語では非事実動詞である発話動詞(例えば「伝える」)が「こと」節を取る場合には「と」節を取る場合とは異なる前提が発生すると考えられる。また「こと」節をとるのが一般的であると考えられている事実感情動詞(例えば「喜ぶ」)が「と」節を取る場合には逆の現象が見られる。日本語の命題態度動詞と複数の補文標識の組み合わせのデータ整理を終え、現時点では動詞と補部の意味だけではなく、補文標識の意味とその組み合わせを考慮する必要があり、Anand & Hacquard(2014)理論に修正を加える必要があると結論づけている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データの整理を終え、Anand & Hacquard(2014)理論を日本語のような複数の補文標識を持つ言語に単純に適用できないことは明らかとなった。彼らが指摘している語用論的要因がどこまで影響するのかを含め理論の構築を進めている。

今後の研究の推進方策

夏頃までに理論化を進め、東京および名古屋で開催されている意味論研究会で発表し、フィードバックをもらう予定である。また所属大学の学内誌へ発表できるよう論文執筆も同時に行う。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Nanae/Towa are not Special: Reply to Sawada and Sawada (2020)2021

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi Kusumoto
    • 雑誌名

      英米文学

      巻: LXV ページ: 21-43

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 時制の一致現象への語用論的アプローチ2020

    • 著者名/発表者名
      楠本紀代美
    • 雑誌名

      英文學研究 支部統合号

      巻: XII ページ: 247-250

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] Relative tense or tenseless: the case of Japanese present tense2022

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi Kusumoto
    • 学会等名
      日本英語学会国際春季フォーラム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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