研究課題/領域番号 |
19K00627
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渋谷 勝己 大阪大学, 文学研究科, 教授 (90206152)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 方言類型論 / 複雑性 / 標準語 / 日本語方言 / 類型論 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の多様な言語を研究するなかで、言語によって複雑さの度合いが異なることがわかってきた。社会的に孤立して使用される言語は音や形の融合が進み、不規則性をもつ複雑な言語になりやすいこと、逆に言語接触を頻繁に繰り返す言語は、分析的で透明度の高い言語になりやすいことなどが指摘されている。 本研究課題は、伝統方言・都市方言・新興方言(標準語を含む)のなかからいくつかを選び、それぞれの複雑度を算出するとともに、その複雑度の度合いに、その方言が使用される社会的状況との相関/因果関係が見出せるかどうかを詳細に分析する。あわせて、標準語を相対化し、従来の、標準語を基準とみなす言語観に修正を迫ることをめざす。
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研究成果の概要 |
近年、他言語と頻繁に接触を繰り返してきた言語(英語やスペイン語など)は体系や構造が単純になる傾向があるとする主張がなされている。本研究課題はこの動向を踏まえ、日本語のいくつかの方言を、他方言との接触の度合いという観点から分類し、それらの方言の間に複雑度の違いがあるかを検証した。 結果、方言のうち他方言との接触があまりない方言は独立した文法要素が連鎖する分析的な特徴を持ちつつも、そこに複雑な音声規則がかぶさって標準語とは異なった表層の形をとりがちであること、都市部の、他方言との接触が多い方言の文法要素は、分析的でありつつも、その文法的な特徴をより強める傾向があること、などを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術面では、日本の周辺部の方言と都市部の方言の形態統語的な特徴を、複雑性という指標で整理することによって、日本語の方言に特徴的に観察される社会言語類型的な傾向性を指摘し、この分野の国際的な対話を促進する材料を提供した。 また社会的には、未だに流布している、「言語には、未開の言語と、高度に発展した文明の言語がある」、あるいはその反動としての、「すべての言語の複雑度は等しい」といった、いずれも偏った言語の認識を是正する役割を担うものである。
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