研究課題/領域番号 |
19K00630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
諸星 美智直 國學院大學, 文学部, 教授 (00220111)
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研究分担者 |
伊藤 孝行 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (00588478)
中野 真樹 足利短期大学, その他部局等, 准教授 (30569778)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 近代点字資料 / 点字雑誌 / むつぼしのひかり / 近代日本語 / 学術用語 / 学術講演 / 外来語 / 近代語 / 日本語点字資料 / 視覚障害者教育史 / 福祉言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
近代日本の障害者言語教育史のうち、視覚障害者教育史の主要な資料である近代日本語点字資料は、言語資料としても点字によってほぼ表音式で表記されているため、近代の学術・教育・文化の多方面にわたる音韻・語彙・語法・表記の極めて貴重な資料である。 しかし点字は触読文字であるため、摩滅の危険性が視読の文献よりもはるかに高く、墨字文献よりも電子化・コーパス化しにくい状況にある。 そこで本研究は、①稀少な近代点字資料を渉猟して近代点字教育の変遷を実物資料から明らかにしてゆくとともに、②福祉言語学の学術環境整備のためにそれらの資料を画像やテキストデータによって保存措置を講じ、電子化、コーパス化する。
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研究実績の概要 |
近代日本の視覚障害者教育史の主要な資料である近代日本語点字資料は、同時期の主に歴史的仮名遣いによる漢字仮名混じり表記と異なり、6点点字によってほぼ表音式で表記されているため、近代共通語成立期における日本語を音韻・語彙・語法・表記・方言にわたって近代共通語の研究資料としても非常に高い価値を有している。しかしながら、従来、近代の点字資料は言語資料としての重要性が特に言語研究の分野にはほとんど知られていなかった。特に、触読文字であるため点字の摩滅の恐れがあり、また紙の劣化の恐れもあるため研究者が利用しやすい形態で公開されることが稀であった。 そのため、全文ほぼ一字一音の点字で、また近代の学術・教育・文化に関わる語彙が豊富で、学術用語の漢字音の漢音・呉音や清濁・連濁の変遷を知る上でも貴重な用例の多い筑波大学附属視覚特別支援学校所蔵の点字雑誌『むつぼしのひかり』を中心的資料として、目視によって点字の凹凸が確認できる画像データのための写真撮影とデータのコーパス化、テキストマイニングによって点字資料の文体・語彙・表記を検討することにしたが、令和4年度まではコロナ禍により訪問調査が憚られたため可能な範囲で閲覧できる文献を分するに止まっていた。令和5年度に新型コロナウイルスが5類に移行したことにより漸く訪問調査を行い、目録を作成して資料の状況を確認し、専門技術を有する業者を選定して『むつぼしのひかり』の91号以降の主として明治期、及び一部大正・昭和期の号を撮影し電子媒体による保存処置を講じ、点字雑誌に見られる教育・学術用語などの漢字音・外来語の表記、ことに合拗音の状況、また掲載された講演における「であります」などの文体・語彙・語法、音便の特徴などについて検討を加えた。
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