研究課題/領域番号 |
19K00631
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 教授 (20372930)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | テンス・アスペクト / モダリティ・ムード / 丁寧語・敬語 / 近代語と古代語 / 古典文法教育 / 統語・syntax / 言語類型の変化 / ~テイル・~タ・動詞基本形・~ム / 丁寧語 / 近代語 / 古代語 / 敬語 / 体系的変化 / 完了 / 状態 / 存在動詞 / です・ます / 候ふ / 古代語・近代語 / モダリティ / 従属節の従属度 / 丁寧語・形容詞・存在動詞 |
研究開始時の研究の概要 |
古代日本語が近代日本語へと変わる際に、~キ・~ケリ・~ツ・~ヌ・~タリ等の形式が姿を消し、かわって、~タ・~テイル等の形式が台頭してきたことはよく知られている。この変化は、日本語の変化の中でも最も大きな変化の一つといえるが、一方で、「どのようにして」「なぜ」この変化が起こったのかは今もってよく分かっていない。本研究では、このようなことを踏まえ、具体的な資料の調査から、「日本語において、古代語テンス・アスペクト体系から近代語テンス・アスペクト体系への変化が、どのようにして起こったのか」を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度と次年度においては、これまでの研究業績をまとめ、出版することを予定している。このため、本年度は、出版助成金の獲得を目指して、これまでの業績をまとめ、大幅な加筆修正を行った。さらに、本研究課題である「日本語における古代語から近代語へのテンス・アスペクト体系の変化」に、直接回答できる章を執筆し、その一部を、第20回現代日本語文法研究会(2024 年3 月27 日(水曜日)、ZOOM開催)において、「日本語のテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷」というタイトルで発表した(本研究の意義が認められ、無事、出版助成金を獲得することができた。正確には、出版助成の採用通知は、2024年度4月の通知であるが、あわせてご報告する次第である)。 研究内容の結論となる部分を、分かりやすく端的にまとめると、次のようになる。 ①~テイルが状態化形式として発達し、「~テイルの有無によって、<状態(継続的)>と<非状態(完成的)>の対立が表現される」というシステムが確立する。【アスペクト体系の成立】 ②上記の①により、~テイルが<現在>の領域をカバーするようになり、~タが<過去>を表す形式となる。「~タの有無によって、<過去>と<非過去>の対立が表現される」というシステムが確立する。【テンス体系の成立】 ③上記の①により、~テイルが<現在>の領域をカバーするようになり、動詞基本形が<非状態>の意味を担い、<未来>の領域(<非現実>の領域)に分布するようになる。無標の形式である動詞基本形が、<非現実>の領域を表すようになり、「~ウ・~ウズ(ル)の有無によって、<非現実>と<現実>の対立が表現される」というシステムが崩壊する。崩壊したシステムにかわって、~ダロウ等の特定の意味を表すモダリティ形式が台頭してくる。【古代日本語からのムード体系の崩壊と、新しいモダリティ体系の成立】
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、テンス・アスペクト体系の変化を解明するためにスタートした研究であったが、テンス・アスペクトに加え、モダリティも含んで、その体系的変化を記述することができた。この意味で、当初の計画以上に進展していると判断でき、前年度の遅れを十分に取り戻せたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度中の出版を目指したい。また、出版に際しては、できる限り、専門家以外の方が読んでも、分かるように表現を工夫したいと思う。 古代日本語から現代日本語までのテンス・アスペクト・モダリティ体系の変遷を記述することは、他の分野にも少なからぬ影響があるものと思われる。例えば、既に、論文化しているが、国語教育(古典文法教育)にも、関与するものといえる。また、アスペクト研究における、形式と意味の記述方法を問いなすことにもなるだろう。この辺りの、いわば、「研究の応用」といえる部分も、きちんと整理して示したいと考えている。
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