研究課題/領域番号 |
19K00635
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
梁 暁虹 南山大学, 総合政策学部, 教授 (00340274)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 音義 / 大般若経音義 / 無窮会本系 / 漢字 / 異体字 / 無窮会本 / 無窮会本系『大般若経音義』 / 倭俗字 / 仏経音義 / 無窮会系本 |
研究開始時の研究の概要 |
“専経異体字字書”とも称される「無窮会系本」『大般若経音義』三種を研究資料として、日本中世の異体字の実態を解明する。語彙の注釈が主である中国における「一切経音義」と比べ、漢字の解釈が主である「単経音義」が日本古代から存在し、それらを探求すれば、異体字の発展・進化・変化等が明らかになろう。またそれは、総体的漢字研究のルブリック―“誰が、何を、如何に”―はその基幹の下で行われるべきとの観点から、中国をはじめとする海外に於ける漢字研究との学問的リンクを形成し、漢字史研究の国際的潮流を誘起する。文字体系としての漢字の使用について、日中韓間の差異及び共通性を考察し、「普遍性」と「個別性」を明確にする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、中世日本に於いて、仏僧及び知識人が漢字の異体字というものをどのように認識し、実用していたかを解明することである。良資料を提供できるものとしては、主に無窮会本系統の『大般若経音義』三種ある。即ち、(1)無窮会図書館蔵本、(2) 天理図書館蔵本写本、(3)薬師寺蔵本である。これらには膨大な漢字の異体字が見られ、従来専ら日本の学者により研究されてきた。しかし、その内容を総体的に把握、評価してみると、“専経異体字字書”とも並称される「無窮会系本」の異体字の実態が十分に解明されていないように思い至った。その根本的理由は、江戸時代に於ける異体字研究の興隆、研鑽に比べ、中世の異体字研究自体が不足していることと思われる。本研究は、先行研究の不足分を補充しながら、「無窮会系本」の実態を解明する。 科研費の運用は、本来は3年で終了すべきところ、二度延長せざるを得なかった。その理由は主にコロナ蔓延のため研究活動に制約を受けた為であった。従って、この5年間、私自身としては主に無窮会本系統の『大般若経音義』三種及び他の“無窮会本系”諸本を資料として駆使し、漢字学の角度から日本中世の異体字を研究してきた。部分的な成果としては、学術雑誌に出版した論文が19篇、専著一冊、また国際学術会議で発表した論文等、総じて21点になる。それらに於ける一般的な意義を特筆するとすれば、“無窮会本系”の学術的価値を国際的視野の下に、日本中世の「単経」「単字」音義研究を位置づけ、かかる資料の重要性を広く学界に紹介することでもあった。その外,資料を研鑽するに、“無窮会本系”を始めとし、それを日本中世写本佛経音義へと広げつつ、異体字研究を通して、漢字が東伝し、新羅や日本へ流入、発展、変遷した過程を跡付ける漢字の文化史を明らかにすることにも力を注いだ。
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