研究課題/領域番号 |
19K00641
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
櫻井 豪人 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (60334009)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 洋学資料 / 蘭学 / 辞書 / 単語集 / 編纂方法 / 編纂過程 / 文献学 / 書誌学 / 蘭学資料 / 翻訳語 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸時代後期に出版されたオランダ語・日本語対訳の辞書や単語集の編纂方法や書誌について、未解明となっている部分を明らかにする。対象とする資料は、単語集の『類聚紅毛語訳』(1798年序刊)・『改正増補蛮語箋』(1848年刊)、蘭日辞書の『波留麻和解』(1796年刊)・『訳鍵』(1810年刊)・『和蘭字彙』(1855-58年刊)・『増補改正訳鍵』(1857年刊)の六点である。『類聚紅毛語訳』については主な底本である『西洋医言』との関係について詳しく調査し、『改正増補蛮語箋』については「草」部と「木」部の編纂方法を解明する。蘭日辞書については日本全国の図書館等に存する伝本の書誌的異同を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和五年度は、研究成果の一部として以下の三本の論文を執筆・発表した。 「洋学資料における単語集の特徴―辞書との関係と相違点を中心に―」…洋学資料における単語集は、17世紀の長崎阿蘭陀通詞によって作られ始めたが、18世紀末までは写本の単語集しか存在せず、単語集は辞書の役割も担っていたものと見られる。1796年刊の蘭日辞書『波留麻和解』と1798年序刊の日蘭対訳単語集『類聚紅毛語訳』が出版されてからは刊本の辞書と単語集が存在するようになり、それ以降、利用のされ方が次第に分化していったものと見られるが、本稿ではその様子を概観した上で、洋学資料における単語集の特徴について、辞書との関係と相違点を中心に論じた。 「『波留麻和解』諸本における出典記号(圏符)の種類とその分布」…『波留麻和解』の現存伝本には所々に出典記号(圏符)が見られるが、先行研究ではその一部が紹介されるに留まり、現存伝本全体におけるその種類や分布については明らかにされていなかった。本稿では、江戸版である東大本・早大本、関西版である静嘉堂本・佐倉本・松村本、写本である早大写本・彦根本・上田本・葵文庫本の全冊について、出典記号(圏符)の全種類と、二十七冊本で分けた場合の出現数(分布)を初めて示した。 「松村明氏旧蔵『波留麻和解』について」…これまで知られていなかった松村明氏旧蔵『波留麻和解』(東京大学文学部国語研究室松村文庫現蔵)を紹介し、同本が二十七冊本の関西版であること(うち現存は二十三冊)や、特にMの部とPの部に品詞表示の朱印や独自の注記が多く見られることが特徴として挙げられることを示し、なおかつそれらの朱印と注記が海上随鴎(稲村三伯)の門人・中天游によるものと見られることなどを指摘した。 以上の論文執筆のほか、ライデン大学図書館蔵写本と同館蔵関西版版本について全冊のデジタル撮影を依頼し、それらの画像を入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画で予定していた『訳鍵』や『増補改正訳鍵』の書誌調査は新型コロナウィルスの影響によりできなくなったが、そのかわりとして、当初の計画では予定していなかった『波留麻和解』写本の調査・研究が進んだので、全体としては順調に進展していると判断される。(ただし、ライデン大学蔵本の複写入手が年度末になってしまい、その研究成果を残すことができなかったので、研究期間を一年間延長することとした。)
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末に入手した、ライデン大学蔵『波留麻和解』の写本および関西版の全冊画像も新たに加えた上で、『波留麻和解』の編纂過程の解明を進めて行く。
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