研究課題/領域番号 |
19K00661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 関西外国語大学 (2022-2023) 大阪大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
渡辺 秀樹 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (30191787)
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研究分担者 |
大森 文子 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (70213866)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | Shakespeare / Beowulf / 動物名メタファー / 擬人化 / 音象徴 / 翻訳 / レトリック / 英詩 / shakespeare / Sonnets / 繰り返し / 列挙 / ルネッサンス / 歴史的系譜 / 音韻効果 / メタファー / 構造 / 動物メタファー / 定型表現 / 古英詩 / 系譜 / 構造性 / 認知詩学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は英詩メタファー表現の概念基盤の構造と歴史的系譜を明らかにするために、中世英語専門の英語史研究者と近代現代英詩を対象とする認知言語学者が連携して行う共同研究である。考察範囲は古英詩Beowulfから戦争詩人Wilfred Owenまで1000年に及び、それらに現れるメタファー表現の主要根源領域を「身体部位名」「動物名」「四大(火・水・土・空気)」の3種に定める。 研究期間中には、認知言語学と歴史意味論に関する研究書の翻訳を行い、研究成果は単独論文、学術書、日本中世英語英文学会、日本認知言語学会、語用論学会及びメタファー研究会での口頭発表、シンポジウムの司会兼発表で公開する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度より所属大学で行って来た英詩概論(英語文学概論)の講義内容をふまえて、ShakespeareのHamletに登場する動物名を分類し、mouse/rat「鼠」、dove/pigeon「鳩」、worm/maggot「蛆虫」という英語類語間の象徴性の相違を述べて、かつ日本語翻訳ではその象徴性の相違が配慮されず、象徴義が失われていることを示した。それらを前提に最後に「雲の場」に出るcamel, weasel, whaleの意義を再検討し、これらはClaudius王がHamletに刺殺されるときに投げかけられた rat 「裏切者」という罵倒と相まって「好色」「大酒飲み」などという王への罵倒の列挙となっているという新解釈を提示した。 さらに Shakespeare, Herrick, Blake, Wordsworthの抒情詩7編を音韻の点から再考察し、各詩のテーマとなっている感情や動物名、対照的な二つの中心語の構成音が、詩の中に分散されて、それらの音を何度も響かせることで、意味を音韻から強調している現象を明示した。これは長年にわたる科研費を受けた英詩メタファー研究における新機軸であり、英語動物名、身体部位名のメタファーと相関し、これらを側面から補強する分野となろう。 分担者は同じくShakespeare, Sonnets を研究対象とし、〈人間は植物である〉というメタファーの観点から、詩人が青年を〈時の翁〉の鎌に刈られる存在としての<花>に譬えており、Sonnetsにおいては、ギリシア神話のナルシスとエコーのレトリックが隠されていると主張した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度には新型コロナウイルス感染状況はやや改善されたものの、英詩に関する資料収集や、国内の学会出張ができなかった。また2022年度に所属大学が変わり、研究環境の整備に時間がかかり、新勤務先での業務遂行等で研究に充てるべき時間と労力がそがれた。以前は科研費研究で毎年7月か9月に行ってきた資料収集と国際学会発表のための英国出張は、7月と9月が講義期間となったためできなかった。研究分担者は所属部局の学内業務が増え、特に指導学生の博士論文2件の提出にともない、多大な時間を費やすことになった。
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今後の研究の推進方策 |
元同部局の認知言語学専門研究者との会合と共同研究を緊密に行い、専門的知見供与・お互いの大学院や学部での講義内容との連動により、豊富な用例収集と新解釈の提示に結び付けたい。近代英詩のメタファーの諸相を、音韻効果の観点からさらに深く追究し、日本語の短詩形作品に見える植物や動物名などの象徴性と比較する。
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