研究課題/領域番号 |
19K00663
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
太田 聡 山口大学, 人文学部, 教授 (40194162)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 略語 / 愛称語 / フット / 頭文字略語 / 複合語 / アクセント / 短縮語 / 混成語 / 借用語 / 頭字語 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトには新しい語を生み出す創造性が備わっている。そして、新語を生み出す手法は様々であるのだが、語形成の研究で取り上げられるのは、派生語と複合語がどのように作り出されるかということが中心的であった。 そこで、本研究では、周辺的な語形成過程と見なされがちな混成語、短縮語、借用語、頭字語の形成過程に着目し、これらに関与する条件、原則、制約を主に音韻的な観点から解明していく。さらに、混成語などの形成に関わる制約等と、派生語や複合語の形成で働く制約等との共通点なども明らかにしながら、語形成全般を総合的に論じることで、人間言語の「語」の特性の、より深い理解を得ることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
令和4年度は、前年度に引き続き、日英語の略語形成についての研究を音韻的な面に注目しながら行った。英語の普通名詞の略語は、例えば、pamphlet → pamphのように最初の1音節を取り出すか、'infor'mation → infoのように、1語の中に複数の強勢(stress)がある語――強勢のある音節の前に'を付した――が元になっている場合には、強勢のある音節とない音節を組み合わせた2音節分を取り出すことが多い。なお、英語の韻律論では、強勢のある音節とない音節が組み合わさった単位はフット(foot)と呼ばれるので、infoのような略語は、1つのフットを取り出した例と見なすことができる。そして、いわゆる愛称(すなわちニックネーム)の形成も一種の略語形成であるが、英語の愛称の形成は、普通名詞の略語形成と同じ方式に則っていることがわかる。例えば、Michaelのように1箇所にしか強勢がない名前の愛称では、Mick, Mikeのように1音節が取り出されるが、'Alex'anderのように複数の強勢を持つ名前の場合には、そこから強勢音節と無強勢音節の2音節分(すなわち1フット)を取り出したAlec(k), Alexなどが愛称となる。一方、日本語の愛称は、例えば「恵(めぐみ) → メグちゃん」のように、元となる名前から2モーラ(=2拍)を取り出すことが圧倒的に多い。日本語は、英語のような強勢アクセントの言語ではないので、フットを強勢に基づいて定義できないが、日本語音韻論においては、「1フットは2モーラから成る」ということが広く認められている。したがって、日英語の略語・愛称形成を比較すると、日本語では、英語のpamphやMickのように子音で終わる1音節略語を用いることができないという違いがあるが、「1つのフットを略語の単位として用いることが多い」という共通性があることを指摘できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
略語に関する研究は十分に行えたが、並行して行う予定であった混成語に関する分析が計画したようには進まなかった。また、コロナ禍の影響が依然残り、研究打ち合わせや学会参加・発表を計画通りに行うことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
まだ十分に取り組めていない混成語のデータ収集および統計分析を行った上で、これまでの語形成に関する研究成果をまとめ、書籍として出版する計画である。
|