研究課題/領域番号 |
19K00680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
鈴木 亨 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (70216414)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 文法 / 逸脱表現 / 意味解釈 / 言語使用 / 英文法 / 言語知識 / 創造性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、標準的な語法・文法からすると逸脱的とされる創造的表現が、一定の言語的環境条件の下で、創発し、受容されていくしくみを解明することを通じて、言語知識における規範性と創造性の関係を再検討することを目的とする。言語使用のインターフェイスにおける逸脱表現の創発と受容について、従来の文法研究の分析方法に加えて、文体論、史的研究、コーパス研究等の知見を参照しつつ、多面的に分析することを通じて、逸脱表現が容認されるために必要な文法システムの調整と組み換えのプロセスを明らかにし、創造としての逸脱とその受容のしくみを包摂した言語知識のあり方をモデル化する。
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研究成果の概要 |
標準的な英文法からすると逸脱的とされる創造的表現について、コーパス調査や文体論、歴史的研究を参照した分析を行った。主な研究成果として、(1)活動動詞と形容詞という一見逸脱的な組み合わせが、関連表現の複合的なネットワークに位置づけられて認可され、多層的意味解釈が生じるしくみと、(2)thinkの疑似他動詞用法が、前置詞脱落による自他交替において、有標性に基づき自動フレームから他動フレームの解釈が否定的に導かれるしくみを明らかにした。コーパス調査に基づき、疑似他動詞用法は、特定のジャンルや場面に対応した独自の談話・語用論的機能を担い、慣習的な表現として確立しつつあることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一般的には文法逸脱とみなされる事例の創発と受容のしくみの研究を通じて、その背後には相互に位置づけられる関連表現のネットワークがあり、それぞれの表現は特定のジャンルや場面に対応した独自の解釈や談話・語用論的機能を担い、慣習的な表現として一定の拡がりを見せて定着しつつあることがわかった。インターネットの普及による多様なスタイルの可視化とメディアの拡張、そしてインターネット・コーパスの発達は、逸脱的な表現が可視化される契機になるとともに、フォーマルなテクストに依存するところの多い従来の文法記述を、言語使用に関わる側面を包摂したより多面的な文法モデルとして再構築する必要性を示唆している。
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