研究課題/領域番号 |
19K00697
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 神戸大学 (2022) 神戸女子大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
南 佑亮 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (40552211)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | there構文 / have構文 / 属性叙述 / paradigmatic relations / 構文文法 / 感情経験 / 主観的判断 / 不定代名詞 / 形容詞 / 構文文法理論 / 構文交替 / 所有と存在 / 属性名詞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、英語において個体の属性描写に用いられる一群の属性名詞(aura, airなど) がthere構文とhave構文の交替する(例:There is an aura about him.とHe has an aura about him.)という、従来の英語研究で研究対象とされていなかった現象に着目する。まずは大規模な言語資料(コーパス)を用いてどの名詞がどの前置詞と用いられ、どのような文脈でどちらの構文がより好まれるか等について網羅的に調査し、その成果を元に、2つの構文の特徴および属性叙述に関する諸説・諸理論の修正・発展を試みる。
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研究実績の概要 |
今年度の主な研究実績は、前年度に発見した感情・心理経験を表すthere構文の2つの類型のうち、ある種の心理名詞(comfort, consolationなど)に特化したタイプのthere構文(例:There was comfort in that thought.)に固有の特徴に着目し、構文文法の観点からその記述・分析を提示したことである。この構文は心理名詞が表す心理状態の経験者(experiencer)をfor前置詞句で明示する場合があり、かつその経験者を主語とする他動詞構文(例:I took comfort in that thought.)とパラダイム関係にあるという特殊な性質がある。ここに構文と語彙(名詞)のミスマッチが起こっていると想定すると、この特殊性はthere構文としての非典型性の現れであることが予測できる。この予測を確かめるため、他動詞文とこの種のthere構文の分布をCorpus of Contemporary American Englishを用いて主な名詞ごとに調査したところ、there構文の事例数が常に他動詞文の三分の一以下にとどまっていることが判明した。この成果は日本英語学会第40回大会で発表し、同大会のプロシーディングス論文集(JELS 40)に英文論文として掲載されている。 一方、この発表時点(11月)では現象の記述が中心であり、理論的考察と説明が手薄であった。そこで、その点を補うことを目的とし、問題の構文現象の分析が、異なる形式を持つ構文間の関係(パラダイム的関係)の重要性を示す優れたケーススタディとなっている点を明確にした論考をまとめ、The 12th International Conference on Construction Grammar (ICCG12)での研究発表に応募し、内定を得ている(2023年5月に発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究機関が新しくなったために研究環境の整備に時間は要したが、研究に注力する時間は十分に確保できたため、コロナ禍で生じた研究進捗の遅れは解消しつつあると言える。前年度の報告にも記載したように、計画当初には想定していなかった現象の発見をしてからはそちらの分析の方にシフトしているが、これはむしろ当初から着目していた現象をより正確に分析するために有用な変更であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
・理論的な考察にも重点を置き、本研究で対象とする言語事実を説明できる見込みのある理論的仮説を詳細に検討し、投稿論文に反映させる。 ・2023年度は最終年度となる見通しであるため、研究成果を論文化し、学術誌に投稿することを中心に進めていく。
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