研究課題/領域番号 |
19K00727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 金沢大学 (2022-2023) 秋田大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
市嶋 典子 金沢大学, 国際学系, 教授 (90530585)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 言語意識 / 難民 / 移民 / 市民性 / 平和構築 / アイデンティティ / 実践研究 / 複文化 / 複言語 / 内戦 / 日本語学習環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,シリアに留まり日本語を学び続ける日本語学習者,海外に難民,移民として移住したシリア出身の日本語学習者の日本語学習環境の実態とアイデンティティ形成過程を明らかにしていく。これらを総合的に考察した上で,内戦状況下にある日本語学習者のための支援方略を構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、海外に難民、移民として移住したシリア出身の日本語学習者、シリアに留まり日本語を学び続ける日本語学習者の日本語学習環境の実態とアイデンティティ形成過程について考察した。その上で、日本語教育実践の試案を構築した。 2023年度は主に、シリアに留まり日本語を学び続ける日本語学習者、日本在住のシリア出身の日本語学習者にインタビューを実施し、彼、彼女らの生活状況や言語意識、日本語とアイデンティティの関係を考察した。シリアに留まり日本語を学び続ける日本語学習者は、日本語を、平和時の経験と記憶が内在したものであり、その経験と記憶を想起することで、自身の存在意義を確認していることが見られた。さらに、日本語は、生きがいのある日常をつくる媒体であり、内戦状況下においても、日本語を学ぶという営みを続け、内戦とは異なる日常を構成し、維持しようとしていた。また、内戦状況下、日本語学習を断念し、ドイツ語やフランス語など、他の言語学習へとシフトし、その後、日本語学習を再開するという事例も見られた。複数の言語を学ぶことで、自身らの将来への希望をつなぎ、内戦状況下の困難を乗り越えようとしている姿勢が明らかになった。 これらの調査結果を踏まえた上で,日本語教育実践の試案として「活動型日本語教育」を示した。「活動型日本語教育」においては、ローカルな場での言語や社会文化、政治の特殊性を理解し、それにもとづいた文脈を重視した教育が必要であることを主張した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主に、シリアに留まり、日本語を学び続ける日本語学習者に、オンラインにより、複数回、インタビューを実施することができた。同一人物に複数回、インタビューを実施することで、学習者の生活環境や学習環境の変化、それに伴う、言語意識やアイデンティティの生成過程を縦断的に考察することができた。一方で、シリアは、依然として、電気の供給が不安定なこともあり、インタビューのできる時間が限られていた。引き続き、インタビュー調査をすすめ、インタビューデータの収集を充実させてきたい。
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今後の研究の推進方策 |
収集したインタビューデータを分析、考察した上で、発表や講演を行い、研究成果を広く周知していく予定である。また、日本語教育実践の試案についても、実践研究を重ねたうえで、より精緻化していく予定である。
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