研究課題/領域番号 |
19K00735
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小川 誉子美 横浜国立大学, 国際戦略推進機構, 教授 (50251773)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 冷戦 / 日本語教育史 / ソ連 / ハンガリー / レニングラード大学 / 東海大学 / 大阪外国語大学 / 旧ソ連 / 口述資料 / 冷戦時代 / ロシア・中東欧 / 日本語教育 / 現代史 / 日本語教員 / 日本研究 / ロシア / 社会主義時代 / 対日政策 / 日本語研究 / 体制変換 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ロシア・中東欧地域を対象に、社会主義時代から現代にいたるまでの日本語教育に関する資料を収集し、当地の日本語教育現代史を記述するものである。第二次世界大戦後のソヴィエトの日本語・日本研究は高い水準を誇りその伝統は東欧圏にも引き継がれた。当地での日本語人材の養成は、日本の国力や当該国の体制を背景に、どのような要因と関わり発展し、冷戦終結後の新体制で展開したのか、さらに、当時教師や学習者の立場にあった人々が、体制の交替と日本語教育や日本研究の意義の変化をどのようにとらえているのかという点を、口述資料をもとに明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
諸外国における日本語人材の育成は、当該国の東洋学の伝統とともに、対日政策のもとで行われてきた。社会主義時代のソ連では、帝政時代のロシア東洋学の伝統を引き継ぎ、独自の発展を遂げ、日本語・日本研究は高い水準にあった。しかし、その内容は日本でほとんど知られていない。本研究は、この空白を埋めるために、社会主義時代から冷戦終結にいたるまでの日本語教育の変遷を記述した。具体的には、日本語教育関係者が社会主義時代 の日本語教育や日本研究をどのように振り返り、日本語教育の意義や実態が体制とどのように関わっているかという「問い」を軸に、1)ロシア・中東欧地域の日本語教育に関する資料を収集し、2)社会主義時代を中心に、当地域の日本語教育現代史を記述した。その結果、戦間期の武力衝突等日ソ間の緊張関係が、ソ連の日本研究を潤沢な予算のもと大きく促進させたことにより、日本語が駆使できる優秀な研究者を多数誕生させた。その勢いは、日ソ共同宣言後も続いた。一方、共同宣言調印後も人的交流は閉ざされたままで、その突破口を求める日本のロシア研究者がソ連教育省と交渉し新たな制度を作り、一方、安全保障という面からソ連の日本語人材育成を重視する日本の大学が、それぞれソ連の日本語人材育成に画期的な尽力をしたことが明らかになった。いずれも、人的交流を促すためにソ連の日本語教育の推進を目的、手段としたこと、従来の諸外国の安全保障を目的とした言語教育と比べると、その対象が異なっていたことは大いに注目されよう。 本年度は、ロシア側当事者による口述資料や、レニングラードで作成された日本語教材を国内で得ることができ、ロシア側の視点からさらなる示唆を得た。ロシア側の公文書等のアーカイブによる裏付けはかなわなかったものの、提供された口述資料は貴重な内容であり、記録、保管し、オーラル・ヒストリーとして後世につないでいきたい。
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