研究課題/領域番号 |
19K00756
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
小林 葉子 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (00352534)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 英語学習者としての日本人社会人 / (脱)英語ネイティブ志向 / フィリピン人英語講師 / 欧米英語圏出身の「ネイティブ」講師 / (脱)英語ネイティブ志向 / 外国人英語教師によるレッスンの多様化と階層化 / 英語留学動機 / 欧米英語圏 / アセアン英語圏 / アセアン準英語圏 / 英語留学言説 / 留学複数回 / 留学動機・成果 / 英語ネイティブ志向 / 言説・イデオロギー |
研究開始時の研究の概要 |
近年は短期間のアセアン英語研修を奨励する教育機関が増えている。その背景には「アジアで英語を使うなら、学生たちの不安感が和らぐだろう」「アジアでの英語使用経験を踏めば、欧米での長期研修参加への意欲につながるだろう」という読みがある。本研究は研修経験の異なる3タイプの(元)学生たち―「欧米英語圏のみ」、「アセアン(準)英語圏のみ」、「欧米とアセアンで両方」-を比較調査し、こうした教育言説を検証する: (1)アセアン研修の優位性(例:英語不安感の軽減)、(2)「短期アセアン研修→本場欧米での長期研修」という2段階モデルの有効性と課題(例:欧米が格上という格差問題への対処)。
|
研究実績の概要 |
これまで行ってきた調査結果は国際ジャーナルに論文発表してきた。本年度はそうした調査結果や議論を国内の英語教育関係者を念頭に置いて大幅に再検討・加筆し、和文論文2本にまとめた。欧米圏学位留学経験や高い英語力がなくとも就職・昇進することが可能な日本社会において、自主的に英語学習に投資し続ける社会人たちに着目し、各論文では次のような考察を行った:(1) 彼らが欧米英語圏とアセアン(準)英語圏を英語学習者のまま行き来する理由と社会的背景、(2) 欧米英語圏出身の「英語ネイティブ」講師を英語モデルとして、彼らによるレッスンを国内外で受講しつつも、フィリピン人講師によるオンライン英会話レッスンを一時的・同時に受講する理由と社会的背景。さらに、3年目に民間調査会社に委託したアンケート調査から得られたデータを質的・量的に分析した。対象は欧米圏出身英語講師(対面・オンライン)とフィリピン人講師(オンライン)による英会話レッスンの両方を受講した(ている)女性 200名(20-59歳)であった。その結果、(1)英会話レッスン受講目的として「趣味・習い事」が一番多い、という日本(人女性)特有の結果となった。ただし若い年齢層は同世代の講師たちとの共通の話題が増えるため、受講そのものが目的となりやすいことが伺えた。さらに、(2)欧米・フィリピン文化への学習意欲は低かったことから、日本人英語学習者たちにとって「文化学習」の限定的な魅力を指摘した。(3) フィリピン人講師によるレッスンの利点として、「同じ」アジア人・英語学習者という、白人・ネイティブの欧米人講師にはない資質があるために、自分たちのことを理解して「くれる」という認識が明らかになった。こうした認識を文化本質主義やネイティブ・スピーカー中心主義などの観点から考察した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウィルス問題のため、当初の計画を大幅変更せざるを得なくなったが、本研究課題の追究のために必要な研究は行うことが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
4年目のデータ分析を進め、調査成果を報告する論文を執筆しつつ、(オンラインでの)学会発表の応募・準備等を行う。最終年度となる5年目となる今年度は、海外でのコロナウィルス制限が解除されつつあるため、現地調査を検討したい。ただ、現地関係者たちが外部からの研究者を受け入れる体制にあるのかどうか不明な状態である。
|