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第二言語コミュニケーションにおけるレジリエンスの発現・発達の様相とその影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K00874
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02100:外国語教育関連
研究機関弘前大学

研究代表者

野呂 徳治  弘前大学, 教育学部, 教授 (90344580)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードレジリエンス / 第二言語習得 / 外国語学習不安 / WTC / ハーディネス / ホープ / 力学系理論 / ポジティブ心理学 / 第二言語 / 自発的にコミュニケーションを行おうとする意欲
研究開始時の研究の概要

本研究は,困難な状況に遭遇した際に生起する心理的ストレスに対する適応・回復の過程であるレジリエンスが,第二言語の学習・習得及び使用のプロセスにおいて果たす役割の解明を主題とする。本研究では,自己組織化のプロセスの説明理論の一つである力学系理論をその方法論上の理論的基盤とし,学習者のレジリエンスが,外国語学習不安並びに第二言語を用いて自発的にコミュニケーションを行おうとする意志とどのような相互作用を通して発現・発達するのか,さらにそれが学習者の言語認知プロセス並びにその表出である学習者言語及び言語行動にどのような影響を与えるのか,そのメカニズムと影響実態を明らかにしようとするものである。

研究実績の概要

本研究は,困難な状況に遭遇した際に生起する心理的ストレスに対する適応・回復の過程であるレジリエンスが,第二言語(L2)の学習及び使用のプロセスにおいてどのように発現・発達するのか,また,どのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とする。
研究5年目となる令和5年度は,前年度までに構築したL2領域固有のレジリエンスとしての「L2レジリエンス」(L2R)の構成概念モデルの妥当性の検証に取り組んだ。本モデルでは,L2Rの発現・発達に関わると考えられる下位の構成概念として,L2の学習・習得及び使用における困難や逆境に遭遇した際に経験する心理的ストレスに耐え抜く心の強さである「L2ハーディネス」(L2HD)と,目標達成の道筋を考えることのできる能力である「L2ホープ」(L2HP)を仮定している。この両者について日本人大学生を対象として質問紙調査及びインタビュー調査を実施した結果,それぞれの心理的実在性が確認された。また,L2HDについては,L2学習・習得及び使用に対するポジティブな態度及び価値の認識である「L2コミットメント」(L2CM),自律的かつ柔軟な対応姿勢である「L2コントロール」(L2CN),失敗を恐れず挑戦しようとする態度を表す「L2チャレンジ」(L2CH)の3つの下位尺度からなる試作版測定尺度を作成し,日本人大学生を対象に測定実験を実施し,その内容妥当性検証及び信頼性分析を行った。その結果,L2CNについては内部一貫性が十分ではなく,内容妥当性の面でも改善の必要性が認められたが,L2CM,L2CHについては,その内容妥当性,信頼性がともに検証された。
本研究で構築したL2Rの構成概念モデルにより,L2の学習及び使用における困難に遭遇した際の学習者のコミュニケーションへの接近または回避行動のメカニズムの記述・説明がより心理的実在性の伴ったものとなることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究計画立案当初,研究2年目,3年目に予定していた英語圏での短期語学研修に参加した日本人大学生を対象とする質問紙調査及び面接調査が新型コロナウイルス感染拡大により実施できなかったため,研究期間を1年延長し,研究計画を変更し,同調査を研究5年目となる昨年度実施したが,研修参加者が少なく,十分なデータ収集を行うことができなかった。また,この研究計画の変更に伴い,英語コミュニケーション場面における外国語学習不安(FLA)と,L2を用いて自発的にコミュニケーションを行おうとする意志(L2WTC)の両者の相互作用により誘発されると想定されるL2Rの発現・発達のプロセスモデル構築並びにL2の学習・習得及び使用のプロセスにおける影響の解明のための質問紙調査及び面接調査並びに会話実験についても,昨年度実施することとしたが,質問紙調査及び面接調査については実施できたが,会話実験についてはスケジュールの調整がつかず実施することができなかった。
以上の理由により,L2Rの発現・発達のメカニズムを説明・記述するために仮設的に構築したL2R構成概念モデル並びにその発達モデルの吟味・精緻化の作業全般に遅れが出ており,その結果,FLAとL2WTCの相互作用におけるL2Rの関わり及びその影響の解明についても,限られたデータにのみ基づいた暫定的な仮説にとどまっている。

今後の研究の推進方策

L2R構成概念モデル並びにその発現・発達プロセスモデルの吟味・精緻化の作業をさらに進めると共に,FLAとL2WTCの両者の相互作用によるL2Rの誘発のための実験をオンラインでの実施に加え対面でも実施し,FLA及びL2WTCの相互作用によるL2Rの発現・発達メカニズムとその影響の解明のためのデータ収集及びその分析・解釈の作業を進め,研究全体の遅れを取り戻したいと考えている。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Psychological Resilience in the Interaction of L2 Willingness to Communicate and Foreign Language Anxiety: The Three Time Scales Model2022

    • 著者名/発表者名
      Tokuji Noro
    • 雑誌名

      弘前大学教育学部紀要

      巻: 128 ページ: 75-82

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 動機づけからみた小学校英語2020

    • 著者名/発表者名
      野呂徳治
    • 雑誌名

      小学校英語教育ハンドブックー理論と実践-

      巻: 1 ページ: 54-59

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interactive Patterning of L2 Willingness to Communicate and Foreign Language Anxiety: The Three Time Scales to Examine Emotional Development2020

    • 著者名/発表者名
      Tokuji Noro
    • 雑誌名

      弘前大学教育学部紀要

      巻: 123 ページ: 149-157

    • NAID

      120006821063

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] Conceptualizing L2 Hardiness in the Interaction Between L2 Willingness to Communicate and Foreign Language Anxiety2024

    • 著者名/発表者名
      Tokuji Noro
    • 学会等名
      AAAL 2024 Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Psychological Resilience in Interactive Patterning of L2 Willingness to Communicate and Foreign Language Anxiety: The Three Time Scales Model2021

    • 著者名/発表者名
      Tokuji Noro
    • 学会等名
      The 30th Conference of the European Second Language Association (EuroSLA 30)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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