研究課題/領域番号 |
19K00916
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
工藤 雅之 藤女子大学, 文学部, 教授 (10321374)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 英語教育 / 認知的没入 / 認知負荷理論 / 自己調整学習 / 協働学習 / 第二言語教育 / 認知的参画 / 自己効力感 / 外国語教育 / 認知負荷 / 教育方法 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の英語教育でアクティブラーニングの中心と言われるグループワークを効果的に利用するために、協働を利用した教授方略を作成、提案する。我が国の教育環境にどのような協働手法が適しているか、第二言語習得理論や応用言語学との整合性を鑑みながら分析を行い、欧米の視点から整理されてきた協働学習を我が国の文化背景や教育環境に合わせて包括的に整理できるか、深い学びを伴いつつ現場に生かすかを問う。認知負荷理論, 自己効力感, ストレス指標などの観点から協働手法の有効性と現場での挑戦を明らかにし、言語教育研究が網羅しきれていない視座から協働を分析する。
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研究実績の概要 |
本研究助成で外部に公開できた成果は国際会議での口頭発表一つに留まった。昨年同様、コロナ禍の影響が想定以上に長期に及び、本研究の土台をなす対面での協働学習を実践できる活動が前進しなかったことで思いもよらぬ事態になっていた。ただし、本年度の成果をきっかけに研究は前進している。
昨年度まで本研究助成で購入した文献などを利用した、欧米での認知的没入に関する文献研究は進んでいる。文献研究から分かったことは、教育現場におけるengagementは学習者の行動を分析するにあたり多岐に渡り、本研究で着目する認知的没入は、認知的没入という動機づけや学習の自律性に関わる複合構造的な概念であり、この認知的没入を得るためには、学習者の主体的関わりである認知資源の自己調整が必要なことが分かった。またその際には、自己効力が大きな役割を果たすことも判った。これらの理解は、今まで研究してきた認知負荷理論(Cognitive Load Theory)と共有点を見出すことになり、集団による認知負荷の軽減などの新しい知見と相まって、協働学習を通じた認知負荷を軽減した学習デザインが認知的没入を生む可能性を示唆している。自己調整学習との接点もあることから、自己効力を推進しながら、engagement を高める学習環境の構築が必要である。今年度の成果にも記したが、我が国の教育においては、効力感(efficacy)が高まるような状況でengagementが発生しやすく、認知的没入を支える自己調整の視点に立ち、効力感を高めるために認知負荷を軽減できる学習環境が重要であることが分かってきた。今後は、環境と学びの関係とengagement を引き起こす仕組みについて実証的に確認し、議論を深めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の進捗は、非常に遅れていると言わざるを得ない。昨年度同様、続くコロナ禍で対面授業や実践の観察を予定していた教育現場などが少なかったからである。ただ、そのような状況も徐々に変化しつつあることから、遅れながらも当初の計画は再開の道を進んでいる。年度末には、フィリピンで現地研修が実現し、我が国での英語教育とengagementについて、より広範な視点を得ることができた。これを継続したい。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでコロナ禍による研究活動への影響が深くなることは全くの想定外であった。このため、国外でのengagement を伴う協働の実践や教育的介入を観察することは言うまでもなく、国内においても対面の教育活動を観察する機会にも大きな制限があった。しかしながら、その環境は改善している。今年度に入りこれらの状況が改善し、国外でも観察行動が可能になったことから、国外のengagement が見られるような学習環境を観察することでengagementを促す学習環境の理解を進めた。過去の研究で分かったことは、engegementを支える個人要因としては、自己効力が挙げられ、Cognitive Load Theory を意識した自己調整学習との接点を持ち、自己効力を推進する学習環境が挙げられているので、本研究の向かうべき方向であることがわかってきた。このような点をより我が国の現実に照らして、明らかにするには、外国で学ぶ日本人を観察することなどで理解が深まると考え、外国、特にアジア諸国での言語教育の実践を観察することにより研究の示唆を得ながら理解を深めたい。
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