研究課題/領域番号 |
19K00946
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 学習院大学 (2020-2022) 学習院女子大学 (2019) |
研究代表者 |
工藤 晶人 学習院大学, 文学部, 教授 (40513156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 比較史 / グローバル・ヒストリー / 地中海 / 景観 / 地理 |
研究開始時の研究の概要 |
地中海史の意義は、ナショナル・ヒストリーかグローバル・ヒストリーかという対立を越えて、その中間域となる空間を主題化することにある。地中海の一体性を論じたブローデルから、多様性と分断を強調するホーデン・パーセルへと至る研究動向をふまえ、 近代の地中海史をどのように描くべきか。この課題にこたえるため、本研究は、地中海という概念の系譜と、その背後にある人的交流と景観の発見という課題に取り組む。
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研究実績の概要 |
本年度の主要な実績は、単著の刊行である。『両岸の旅人──イスマイル・ユルバンと地中海の近代』(東京大学出版会)においては、本研究課題との関わりにおいて以下の点をあきらかにした。 1.近世から近代にかけての環大西洋史と地中海史とのつながりを、近世以来の植民地貿易の過程で各地に居住した人々の歴史とともに描き、海洋に隣接した諸地域において、地理的な想像力がどのように類似していたか、連関していたかを考察した。2.19世紀地中海の両岸の社会において、対岸の文化、社会、風俗、地理等についてどのような認識が存在していたかを比較考察した。とくに、北岸の人々が南岸の社会を単に異なったものとみるだけでなく、むしろ共通性のある存在としてとらえていたことを実例とともに考察した。3.地中海という枠組みが、文化的な全体性として、また地政学的な枠組みとして、19世紀ヨーロッパにおいて論じられた枠組みについても考察した。 以上は、イスマイル・ユルバンという個人だけでなく同時代人の思想、言説を渉猟した結果として得られた成果である。 また本年度から、地中海という景観発見のもうひとつの例として、地中海における水産業と水産加工業についての研究を開始した。西地中海の両岸において海から採取される資源(魚、海綿、珊瑚など)と、その流通、文化的価値付けなどの問題について考察することで、西地中海と東地中海の比較という地域史の新しい視野をひらき、またあわせて、グローバルヒストリーへと開かれた地中海史研究の可能性を開拓することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も、引き続くコロナ禍の影響により海外出張の機会がかぎられ、研究の進捗は予定よりやや遅れている。一方で、水産業の展開からみた文化史研究という新しい視野を得られたことは、昨年まで予期していなかった展開である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、上述の水産業、水産加工業の発展と近代地中海世界における景観認識、あるいは文化的一体性をめぐる思想的展開とを連関させるという側面に重点を置き、当初計画の展望を拡大させつつより具体的な研究を進めていきたいと考えている。
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