研究課題/領域番号 |
19K00948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
徐 小潔 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (20537865)
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研究分担者 |
江南 和幸 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (70029106)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 東西交流史 / 書籍史 / 文理融合 / 紙質分析 / 非破壊調査 / 紙質 / 非破壊 / 紙の繊維分析 / ミッションプレース / 長崎 / 紙のグローバルヒストリー / ペーパーヒストリー / ヨーロッパの印刷用紙 / 和刊本 / インキュナブラ / 和紙 / 中国紙 / 近世ヨーロッパ / 非破壊調査分析 / 紙質の科学的分析 / 西洋典籍 / ヨーロッパ出版史 / グローバルヒストリー / 東西交流 / 西洋古典籍 / 紙の流通 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ヨーロッパ各地域の16~18世紀の古典籍を調査・分析対象とし、各地域で使用されていた印刷用紙を非破壊的な調査方法を用いて、紙の原材料を解明する。その地域間の差異を検証するうえ、中国を主とする同時代のアジアの紙との比較を行い、当時のヨーロッパで流通していた紙の生産地を明らかにする。同時に、東西貿易に関する史料をオランダやロンドンで収集し、紙質分析の結果とあわせて「紙」の流通ルートを検討する。上記の結果を整理することによって、出版文化が急速に発達した16世紀から、ヨーロッパにおける知識革命に「紙」という物質的基盤を提供した東西交流史の一端を究明する。
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研究成果の概要 |
本研究は、顕微鏡を用いて16世紀以降の東西の古典籍の紙質を非破壊調査し、近代以前の「紙」に纏わる東西双方向のモノ、技術の交流図の一端を解明した。16-18世紀のアムステルダム、ライプツィヒ、フランクフルトで出版された書籍に使われていた紙が、パリ、ロンドンとは異なり、「紙」のヨーロッパ内の地域性があった。前者の紙には東アジアの手漉き紙に使う藁が含まれており、18世紀末までヨーロッパは植物で製紙できなかったという主張を覆し、大航海時代以降に東西の製紙技術の交流があったことを実証した。19世紀半ば以降は、日本と中国の手漉き紙の職人はヨーロッパの紙の性質を模倣し、それぞれ新たな紙作りに挑戦した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、科学分析によって、出版文化が急速に発達した16-18世紀ヨーロッパ内の各地域で使用されていた印刷用紙の地域差異、そして東アジアとのつながりの検証を物質証拠として提示することができた。歴史学的研究としての史料の限界を打開し、文理融合の手法で実証的な研究を発展させるうえでの新たな挑戦になった。 また、文献資料のデジタル化が急速に進むなか、電子端末でも資料や本が読めるような時代に、「モノとしての書物」に注目し、文字情報と比肩する「紙」の研究価値を本研究で見出したのである。
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