本研究は、戦時期から戦後初期にかけての日本における、日雇労働者の生活・労働を分析し、その歴史的性格について明らかにすることを試みる。具体的には、労務供給請負業の動向や、配給制度をはじめとする生活環境について分析し、戦時下において日雇労働者の労働・生活の様相がどのように変容していったのかを明らかにするものである。 研究を通して、総力戦にともなう日雇労働者の包摂と排除の実相を究明し、当該期の日雇労働の実態とそれに対する国家政策の歴史的性格を考察する。そして、1930年代から40年代にかけての日本における総力戦と労働の関係について改めて検証し、現代の労働問題を考える一つの歴史的な視座を提示したい。
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