研究課題/領域番号 |
19K00956
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
上川 通夫 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (80264703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 民衆史 / 仏教史 / グローバルヒストリー / 慈悲 / 普遍思想 / 中世仏教 / 民衆思想 / 大般若経 / ユーラシア / 日本仏教 / 仏教 / 中世史 / 中世民衆史 / 思想のグローバルヒストリー / 山寺 |
研究開始時の研究の概要 |
世界史上ないし人類史上で普遍的価値のある思想を、日本中世の具体的史実の中に見出す目的による歴史研究である。特に民衆生活史は、被抑圧者としての経験と自覚によって、人間存在の本質理由に触れる機会があったはずだが、そのような思想と行動が形を成して表現され、その痕跡が古文書等にとどめられることで、今日の研究対象となりえている。日本中世に関しては、民衆の思想と行動が表出した徴証は断片的に残るのみなので、研究の狙いと方法を充分に錬りつつ遂行する。そこで、民衆自身による陳述史料の探査・分析、民衆生活の場たる村やその結集拠点たる山寺の調査、ユーラシア仏教史との接合による人類史上の意義発見、という方法をとる。
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研究成果の概要 |
日本中世(11世紀後半~16世紀)の歴史的位置を、東アジアないしユーラシア東部という歴史的地域との関係で見定め、約500年間の推移を通じて浮上した民衆思想の歴史的達成を、グローバル視点の歴史認識を不可欠とする今日的課題との関係で明らかにした。 紀元前5世紀ごろに南アジアで芽生えた仏教は、紀元前後に中央アジアで大乗仏教化し、ソグド人らが東アジアに伝え、日本列島に定着した。日本古代では国家宗教であった仏教は、中世初期にいたって民衆世界をも捉えた。その歴史的条件の下、被支配身分である民衆にとっての主体的・意志的な思想と行動の事例が、断片的・未組織ながら、確かに発信されていたことを証明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
グローバルヒストリーは、今日から将来を展望する上で必要な歴史認識の方法である。それは近現代にだけではなく、前近代にも当てはまる。その場合、国境や民族を越えた人類史の連動の事実を知ること自体の重要性だけではなく、生活者民衆が苦闘の中から普遍的思想を紡いだ事実に絶大な意味がある。外来仏教思想であった「不殺生」(非暴力)、「慈悲」(愛情)、「和合」(平和)などの思想は、断片的に残る民衆の発言史料に確かめられる。それは西洋近代思想が導入される以前の史実である。また今日、仏教用語だと意識されないほど日本語として定着している。しかもなお、その理想は十分に実現していないという課題を私たちに突きつけている。
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