研究課題/領域番号 |
19K00959
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
平川 新 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (90142900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 庶民剣士 / 武芸・武術 / 農兵 / 戊辰戦争 / 近世身分制論 / 兵農分離論 / 兵農分離 / 尊皇攘夷 / 剣術 / 剣術奉納額 / 道場 / 山立猟師 / 草莽 |
研究開始時の研究の概要 |
戊辰戦争は東西の政治勢力が激突した内戦だったが、その戦いには武士だけではなく多くの庶民が参加していた。みずからが志願して草莽隊に入った者や、領主によって徴発されて農兵となった人々などである。東西の両勢力にはいずれもこうした勢力が混在していたとされているが、その実態は十分に解明されていない。 そこで本研究では主に東北と北関東を対象に、草莽隊や農兵隊の組織のされ方、参加者、活動などを実態的に把握することで、庶民による戦争参加の実態を明らかにする。これによって庶民と幕末軍事組織の関係や兵農分離論などの理論的研究の見直しも可能になる。
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研究成果の概要 |
従来の研究では武士と庶民に区分された身分制度にもとづいて、剣術は武士の特権だと理解されてきた。だが江戸時代を通して庶民は一貫して剣術の自由をもっていたことを明らかにした。しかも対外的危機が顕在化してくると、幕府は1849年(嘉永2)に海防強化令を発し、諸藩に対し沿岸の備えを求めた。武士だけではなく、百姓・町人などの庶民剣士を国防体制の中に取り込んだ画期的な法令であることを明らかにした。農兵制度は、武士身分ではなくとも帯刀することを可能にした。従来の帯刀公認システムは大きく変容し、幕末農兵制度は、庶民でも帯刀が可能な状態を一挙に出現させたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで武術は武士の特権だと理解されてきたが、近世初期から全国で庶民武芸が盛んであり、各地に無数の庶民剣士が存在していた。これは従来の身分制度理解の転換を迫る歴史の実態である。19世紀に対外的危機が迫ると、1849年に各藩に対して海防強化令を出すが、そこでは百姓や町人などを農兵として取り立てることが指示されていた。これは全国に広範に存在する庶民剣士を国防体制に組み込むことを目的としており、これによって日本の陸上戦力は飛躍的に強化されることになった。多数の庶民剣士の存在が日本の国防体制の転換に大きな影響を与えたという事実は、近世日本の身分制と国防体制の理解に大きな影響を与えるものである。
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