研究課題/領域番号 |
19K00960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
上野 大輔 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90632117)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 日本史 / 近世史 / 仏教史 / 触頭 / 組合 / 講 / 寺社奉行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、近世仏教教団における触頭制度とその地域的基盤について具体的に究明し、教団が如何に存立したかを問い直すことである。 主に用いる史料は、北陸地方の真宗の触頭寺院に関するものである。これらは、触頭寺院史料の中で最も充実した部類に属する。 本研究は、私が単独で行うもので、期間は2019年度から2022年度までの4年間とする。その前半に重点を置いて史料調査を実施し、学会報告・論文作成へとつなげたい。最終年度には、総括的な成果を公表する予定である。
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研究実績の概要 |
まず、真宗東本願寺派の触頭を務めた越中国城端善徳寺や加賀国金沢瑞泉寺をはじめとする、加賀藩の真宗寺院に関する史料の検討を進め、同藩における真宗寺院の触頭制度とその地域的基盤に関する論文の作成を進めた。その中で、個別の触頭や寺院組合の事例に限定せず、加賀国・越中国・能登国にまたがる広域的な視野で、諸事例を関連付けつつ論じる方法を獲得できた。しかし、論文の完成には至らなかったため、研究期間を2023年度まで延長し、引き続き取り組むこととした。 次に、真宗西本願寺派の録所(上級触頭)を務めた長門国萩清光寺の支配権に関する論文の作成を進めた。関連して、山口県編『山口県史』通史編近世(山口県、2022年)の中で私が執筆を担当した「第7編第3章 宗教文化の諸相」に、萩藩の寺院の触頭制度とその地域的基盤に関する最新の研究成果を盛り込むことができた。 また、江戸触頭であった浄土宗鎮西派の芝増上寺、臨済宗五山派の芝金地院、真宗西本願寺派の築地御坊、そして築地御坊の下にあった麻布善福寺に関する史料を検討した。その成果の一部は、今後刊行予定の港区(東京都)編『港区史』資料編近世(港区)に反映させたい。 一方、小林准士『日本近世の宗教秩序 ―浄土真宗の宗旨をめぐる紛争―』(塙書房、2022年)の書評を、『日本史研究』第724号に発表した。小林著では、近世独自の政教関係や、地域における僧侶・門徒の動向についても検討されており、本研究課題と密接に関連する。 本興寺編『本興寺文書』第7巻(清文堂出版、2024年刊行予定)に収録する史料の校正・検討を進めたことも付記しておきたい。この史料中には、法華宗の触頭・寺院組合・講に関する記事が含まれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により、出張を伴う未刊行史料の調査が積極的に進められなかった。 このような状況の中、加賀藩における真宗寺院の触頭制度とその地域的基盤に関する論文や、長門国萩清光寺の支配権に関する論文などの作成が遅れ、2022年度に計画していた研究活動の一部を2023年度に実施する必要が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、善徳寺文書・瑞泉寺文書や、その他の関連する史料・先行研究の検討をもとに、加賀藩における真宗寺院の触頭制度とその地域的基盤に関する論文を作成する。これが最優先の課題であり、2023年度中に学会誌へ投稿したい。 次に、長門国萩清光寺の支配権に関する論文を作成する。こちらも可能であれば、2023年度中に学会誌へ投稿したい。 また、真宗西本願寺派の触口(下級触頭)であった相模国野比村最宝寺の触伝達についても引き続き検討し、論文の作成を進めたい。但し、2023年度中の論文の完成は難しいと予想される。 以上の研究の遂行に当たり、関連する図書等を購入すると共に、出張を伴う史料調査を必要に応じて実施したい。
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