研究課題/領域番号 |
19K00962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
西川 広平 中央大学, 文学部, 教授 (60574150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自然災害 / 東海地震 / 日本中世史 / 日本近世史 / 内陸地域 / 災害復興 / 歴史学 / 古文書 / 災害史 / 地域史 / 環境史 / 内陸部 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、地震・噴火・洪水などの自然災害に襲われた前近代の地域社会が、どのように復興事業を進め、地域の再生に取り組んできたのかを明らかにすることを目的とする。 特に、中世後期から近世にかけて4回(明応・慶長・宝永・安政)発生した記録が残る東海地震における内陸部の被災とそれに連動した風水害からの復興を主な対象とし、文献史学・考古学・民俗学の分野による学際的な見地から上記の目的の達成をめざす。 本研究の成果をとおして、当該時期に見られる人々の自然災害への対応を明らかにするとともに、災害や復興に関する記録をどのように人々に還元していくのかという現在の社会的な課題について歴史学の立場から考える契機とする。
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研究実績の概要 |
2023年度に実施した史料調査については、前年度までの新型コロナウィルス感染症蔓延の影響により遅延していた調査の実施に取り組み、2023年8月26・27日には徳島県立文書館を訪問し、同館に収蔵されている慶長南海地震および宝永南海地震の災害記録である『円頓寺旧記』、『大日寺旧記』(以上、大日寺蔵)、『震潮記』(個人蔵)の史料データを確認した。この結果、『円頓寺旧記』は複数の筆跡で書かれたことが判明し、段階を経て編纂された記録であることを推測した。そして、この際に入手した史料の画像をもとにして、2024年1~2月には当該史料の翻刻を行い、記載内容の詳細を把握できるようにした。今後、この内容を踏まえて、中近世移行期に発生した南海地震の状況について研究を深めたい。 また、2023年度には、前年度までに調査を進めた史料のデータを踏まえて、研究の進展を図ることに尽力した。南海地震については、徳島県域に現存する14~18世紀の津波碑とされる石造物の調査を踏まえ、これらがどのように作成され、伝来してきたのかを立地状況等から考察した成果をまとめ、論文「阿波国に伝来する中世・近世前期の津波碑」(小林謙一編『考古資料と歴史史料』中央大学人文科学研究所研究叢書82、中央大学出版部)として刊行した。 一方、東海地震については、前年度までに調査した明応東海地震の災害発生と復興の状況を記した記録である『日海記』(海長寺蔵)を対象とした研究成果を論文「『日海記』と明応東海地震」(中條曉秀編『龍水山海長寺 日海記の世界』静岡新聞社)として刊行し、被災と復興の経過および災害史料としての本史料の作成過程について考察した。 さらに、これまでの本研究の成果を反映した単著『中近世の資源と災害』(吉川弘文館)を刊行し、研究成果の社会への還元のため、博物館・埋蔵文化財研究所等の関係機関や当該分野に関わる研究者に献本した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、徳島県内における関連史料のデータを得たほか、それ以前の調査結果を踏まえて史料の翻刻や分析、論文の刊行が進んだ一方、新型コロナウィルス感染症蔓延の影響が引き続き生じており、『一宮浅間宮帳』等の当初予定していた史料調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症蔓延の影響により、これまで調査の許可が下りなかった文献史料を中心に、史料の撮影とその内容の解読・翻刻作業を進める。最終的には、地震・津波災害の状況を考古と文献の双方の史料から考察し、その成果を反映した研究報告書を刊行する予定であり、既に研究協力者に執筆を依頼している状況となっている。
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