研究課題/領域番号 |
19K00965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
福島 金治 愛知学院大学, 文学部, 教授 (70319177)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 兵法書 / 黄石公三略私抄 / 地方暦 / 牛王宝印 / 修験 / 密教 / 漢籍 / 人吉願成寺文書 / 八代日記 / 修験者 / 密教僧 / 人吉願成寺 / 起請文 / 竜造寺家文書 / 島津家文書 / 聖教 / 防衛大学・有馬文庫 / 米沢市図書館 |
研究開始時の研究の概要 |
中世の人々は、日常的にあった合戦などのなかで、自身をどのように保持しようとしたのだろうか、また、どのような情緒や思想に基盤をおいていたのだろうか。本科研では、大名や国衆などが領域を統合していく際に基盤にもっていた考えかた、また、合戦における出陣などに関わる儀礼、出陣の日を選ぶ際の吉凶判断やまじないなどの合戦に関わる技術について、彼らが保持していた兵法書から解明しようとするものである。兵法書の中でも特に密教・修験の環境で生まれたものに注目している。そこには、家督の育成、合戦の合理化といった問題がみえる。これは当時の統治理念と関わっており、戦国期社会の解明に資するものと考えている。
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研究成果の概要 |
日本の近世社会は、徳治主義をその基盤の一つにおいていた。こうした考えの成立の背景は、禅僧の学んだ朱子学の世俗への展開などで説明されてきた。これに対し、中世の密教僧や修験者が所持した兵法書には、戦術・戦法のマニュアルとなっていたまじないや占いなどを基礎とした兵法書とともに、『三略』などの漢籍の註解を密教思想によって解釈した兵法書がある。後者においては、侍を官吏と位置づけ、百姓への撫民が語られ、戦国期の矛盾を脱した安全な新しい国家の創出を語る理念が含まれていた。今回の科研ではこれらを確認し翻刻・紹介した。さらに、密教聖教系の兵法書には暦のマニュアルなどがあり、これを使って地方暦の実態を検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中世の兵法書には、「張良一巻書」『甲陽軍鑑』などの他、修験系の兵法のマニュアル、『三略』『六韜』などの漢籍の兵書を儒者が注釈した書物などがあり、国文学・歴史学・民俗学・書誌学の研究対象とされてきた。一方、密教・修験に関わる聖教類に含まれる兵法書には密教僧の仏教を基礎とした兵法また漢籍注釈の書があり、君主のあり方や「士農工商」などの理念を語るものある。これらの兵法書は現実批判の書で、あるべき「国家」像を語っていた。そこで、これら未刊行の書物を翻刻・紹介し、中・近世移行期のすがたを具体的に語る素材を提示した。これにより近世の「国家」理念形成の背景を幅広く理解できる環境作りの一助となったと思う。
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