研究課題/領域番号 |
19K00972
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 伸之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (40092374)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 江戸近郊 / 分節構造 / 地帯構造 / 海面利用秩序 / 新橋-横浜間鉄道 / 六郷領 / 筏宿 / 多摩川河口汽水域 / 江戸南部近郊地帯 / 社会=空間構造 / 海面秩序 / 社会=空間構造 / 分節的把握 / 江戸内湾臨海部村々 / 江戸近郊地帯 / 海苔養殖と海面秩序 / 交通労働と「日用」層 / 鉄道一件 / 地帯構造論 / 全体史 / 身分的周縁 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究は、18世紀-19世紀中頃の江戸南部近郊の社会がどのような歴史的特質を持ったかを、六郷領(現在の東京都大田区南部一帯)という地帯を素材に研究し、その成果を叙述しようとするものである。六郷領のような広域を、地域とは区別して地帯と呼ぶ。旧六郷領域は、大半が農村部から構成されたが、東を江戸内湾(東京湾)、西部は多摩川下流から河口域にそれぞれ接し、また海岸沿いを東海道が南北に縦貫する、という特徴ある条件の下に置かれた。また巨大城下町である江戸に近接することから、多様な側面で、都市社会と密接不可分な関係が形成されたこと等を、いくつかの史料群の丁寧な読み込みにより明らかにしようと試みる。
|
研究成果の概要 |
本研究は、巨大城下町江戸の南部近郊にある六郷領(現・東京都大田区南半)を対象とし、近世後期から初期近代の地帯構造の特質を解明しようと試みたもので、以下のような研究成果を得た。①大田区立郷土博物館所蔵六郷領八幡塚村筏屋鈴木家文書の再調査を実施し現状記録を完成させた。②同館所蔵の未整理文書、六郷領鵜ノ木村(大田区鵜の木)天明家文書の概要調査に着手した。②多摩川河口汽水域の社会構造の特質を、羽田猟師町に注目し、漁業や筏宿、また舟運などに注目し論点を抽出した。③都公文書館所蔵「鉄道一件」を素材に明治3~4年における新橋-横浜間鉄道の敷設が、六郷領を含む地帯にどのような変容を強いたかを検討した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、第1に、江戸南部近郊地帯の広域な社会結合(領)を包括的に把握し、これを地帯構造と呼び、その社会=空間構造を、構成する諸要素の分節的な複合として捉える(分節構造)方法の有効性・重要性を、研究実践的に提示したことにある。また第2に、当該域の海面秩序や、多摩川河口域の社会構造、さらには内陸部に成熟する近世的な諸要素が、新橋-横浜間鉄道に具現される近代化の急速な進展により、いかに破壊され、また新たな構造へと定位したか実証的に見通すという方法の提起にある。これらを大田区立郷土博物館の諸事業と連接させることで、現代の大田区地域市民へとその成果を共有することに社会的意義を見出している。
|