研究課題/領域番号 |
19K00973
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
斎藤 夏来 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (20456627)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 五山文学 / 玉仲宗琇 / 張良 / 小早川隆景 / 毛利元就 / 大徳寺 / 画像賛 / 毛利輝元 / 三子教訓 / 小早川氏 |
研究開始時の研究の概要 |
日本中世史研究にかかわる文献史学の立場から、画像賛を含む五山文学の研究を行う。五山文学には、創作に属する「作品」としての側面と、歴史的な諸事実を反映する「史料」としての側面とがあり、今後の研究の視野を格段に広げ深める可能性がある。特に、人物画像に書き込まれた賛文には、古文書や古記録には決して現れないような、当事者の主観に属するいわば機密的な内容が含まれている感触を得ており、その具体的な実証をめざす。
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研究成果の概要 |
大徳寺黄梅院伝来の小早川隆景寿像、つまり生前画像に玉仲宗琇が著した1590(天正18)年の賛を検討した。小早川隆景は、父の毛利元就が信奉していた中国の伝説的な軍師、張良に関する理解を玉仲にたずねたとみられる。玉仲は、張良とは何かを知るには、人間同士の争いで勝つ、という発想ではなく、人間には決して勝てない自然現象として自分を捉えなおすよう説き、隆景を父元就の呪縛から解放したと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、第一に、文化財として一般にも認められている肖像画に含まれている文字情報である画像賛について、従来あまり顧みられることがなかったが、そこには史料としてどのようなことが書かれ、どのような価値があるかをあきらかにした点である。第二に、画像賛として書かれている内容は、自然の一部として自身を含む人間や社会を見直せと読み取り得るものであった。つまり、人々の生きる目標であるとか、いずれは亡くなる命をめぐる価値であるとか、現代社会では希薄になっている信仰というものを学問的に捉え直す手がかりを得られたと考えている。
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