研究課題/領域番号 |
19K00974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 公益財団法人政治経済研究所 (2020-2021) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
冨永 望 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (20572069)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 象徴天皇制 / 沖縄祖国復帰運動 / 沖縄教職員会 / 戦後天皇制 / 沖縄 / 復帰運動 / 反復帰論 / 建国記念の日 / 日の丸 / 君が代 / 皇室報道 / 天皇制 / 国民統合 |
研究開始時の研究の概要 |
今上天皇の退位を2019年に控えながら、天皇が国民統合の象徴と位置づけられる意義については議論が深められていない。「国民統合の象徴」とは具体的に何を意味するのか。日本において異質な存在である沖縄を題材として、現地メディアにあらわれた皇室報道・皇室論を渉猟して分析することで、「沖縄にとって天皇制とは何か」という問いに答える。(1)沖縄のメディアにおける皇室報道(1945年8月~1989年2月)の分析 (2)復帰運動における皇室の位置づけと、住民の皇室に対する意識の検証 (3)沖縄で皇室に対するイメージが変化する経緯の解明 以上の作業により、国民統合の象徴としての天皇のあり方を歴史学的に解明する。
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研究成果の概要 |
「戦後沖縄の皇室報道―「反復帰」論出現以前を中心に―」においては、米軍占領下の皇室報道を分析し、沖縄県民を気にかける皇室を強調することで、皇室を日本と沖縄の紐帯の象徴として描き出す意図が看取できることを論じた。「戦後沖縄の新聞報道に見る天皇制批判―「反復帰」論出現の背景」においては、荒川明の「反復帰」論以前にも、沖縄県民が日本に対して抱く違和感の萌芽が新聞報道の中に発見できることを論じた。最終年度において沖縄で史料調査を行い、上記論文の内容を補強する史料を発見し、象徴天皇制研究会において「沖縄祖国復帰運動における日の丸と君が代―沖縄戦後教育史復帰関連資料を手がかりに―」と題して報告した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
戦後の沖縄県民は一貫して反天皇制の風潮が強いという印象が広がっているが、それは事実に反することを論証できた。米軍統治下の沖縄紙は沖縄を気にかける皇室の姿を報道することで、皇室を沖縄と日本の紐帯として描いており、皇室の冠婚葬祭に参加することを復帰運動の一部に位置づけていたのである。しかし、同時に建国記念日や君が代に対する消極的姿勢も現れており、沖縄県民が日本に対して抱いていた違和感の萌芽も確認できる。復帰運動が左傾化するにつれて、皇室は日米安全保障条約すなわち沖縄基地化政策の象徴に置き換えられ、沖縄紙は反皇室報道に転じていくが、その論拠となる史料を現地調査で発見できたので、その発表に努める。
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