研究課題/領域番号 |
19K00976
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小林 准士 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (80294354)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 浄土真宗 / 日蓮宗 / 折伏 / 異安心 / 宗教秩序 / 粟津義圭 / 摂受 / 神職 / 争論 / 論争 / 宗派 / 神道 / 吉田家 / 宗教紛争 / 神祇不帰依 / 神祇不拝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、地域に残る寺社等の史料調査という基礎作業をもとに、仏教宗派間あるいは仏教と神道との間に起こった論争または争論(訴訟)の分析を通じて、日本近世における諸宗教・諸宗派間の関係の総体を把握し、近世後期におけるその秩序の変容過程を明らかにすることを目的としている。特に宗派の独自性を強調する浄土真宗と日蓮宗を仏教では取り上げ、神道との関係を問題にし、宗派内・宗派間・仏教と神道間の対立構造の統一的把握を目指している点、思想史と宗教社会史の架橋を試みる点に学術的独自性と創造性が存する。
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研究成果の概要 |
18世紀末から19世紀初めにかけて起こった浄土真宗教団内の教義をめぐる論争や異安心(異端信仰)事件を取り扱い、僧侶の修学機関による教学の統制が行われる中、事件が頻発したことや、多様な信者に対する教化の仕方をめぐって僧侶が争っていたことを明らかにした。また、18世紀後半の日蓮宗教団内において他宗派や神道を批判する折伏を重視する動向が存在し、教学上の論争だけでなく地域における紛争も招いていたことなどを明らかにした。こうした紛争の背景には不受不施派の動向もあったが、紛争の頻発化を受けて教団中枢部では折伏は抑制される方向にあったことも指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本近世において仏教が果たした役割としては葬祭や祈祷、寺請けといった事柄が従来注目されがちであった。しかし実際には近世は民衆教化が盛んとなり重要となった時代であった。そのため本研究では教学の展開や教化のありように注目して、仏教が近世社会において果たした役割を再評価した。また、諸宗派や諸教が併存した日本近世の在りように注目したことで、世界の中の他地域と比較した場合の日本宗教の特質を理解する前提をかたちづくることができた。この点は、異なる宗教を奉じたり価値観を抱いたりする人々がどのような場合に共存できるのかという、現代的問題を考える上でも参考となるはずである。
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