研究課題/領域番号 |
19K00978
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 哲也 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (50315024)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 東南院文書 / 東大寺文書 / 東大寺 / 正倉院 / 史料学 / 古文書学 / 日本史 / 史料伝来論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東大寺文書の史料学、史料伝来論の深化のため、次の2つの課題を設定し解明を目指すものである。第1点は、「内部からの視点」として、東京大学史料編纂所で公開中の高精細画像を積極的に活用することで、個別文書、巻子に残る痕跡から東南院文書の動態を考察するとともに、「外部からの視点」として、これまでの成果と新たな調査結果を踏まえ、文書目録や写本等に記録された東南院文書の状況を分析し、両者を融合することによって、時系列に沿った東南院文書の現状成立過程と、その意義を明らかにする。第2点は、東大寺文書・東南院文書の写本群の集成と分析に基づき、好古家等の知のネットワークの解明を進める。
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研究成果の概要 |
東南院文書のうち、料紙面に折本状の痕跡(山折・谷折・綴穴)を確認できる17巻を対象に、現状を一覧表化した上で、残された痕跡の状況と、文書目録・文書出納日記の記載(帖・造紙・雙紙)との比較を行い、折本状の痕跡は、院政期の東大寺別当寛信による文書整理の結果を示すことを明らかにした。さらに、それが現在の巻子装へと変化した時期に関し、江戸期の点検記録の検討から、天和元(1681)年~享保6(1721)年の間のことであることを導き、写本との比較等により、天保9(1838)年~同11年の間に手が加えられた巻の存在も判明するなど、東南院文書の現状成立過程の具体相を提示することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
院政期の東大寺別当寛信が行った伝来文書の整理(貼継ぎ・成巻)は、散逸を防ぐ上では有効である一方、まとめられた文書を参照する際の不便を生じる。そこで、必要頻度の高いものを折本状にすることで、その不便を解消したと理解される。これは、個々の文書が活用される価値を有していたからこその措置であり、それが巻子装になるのは、そうした価値や意義が失われた(第一義ではなくなった)ことを意味し、古物になったことを示すと評価できる。そうした観点に立ち、他の文書群に関しても文書が整理された形態と、文書の効力の関係等について、再検討する必要があると考えられる。
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