研究課題/領域番号 |
19K00983
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 史生 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50308318)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 渡来人 / 帰化人 / 流来 / 海商 / 渡来系移住民 / 渡来系氏族 / 新羅人 / テヒト / フミヒト / 帰化 / 薩摩塔 / 五経博士 / 百済 / 平家物語 / 百済王氏 / 高麗王氏 / 肖奈王氏 / 百済郡 / 高麗郡 / 東国 / 移動史 / 移住民 / 国際交流史 |
研究開始時の研究の概要 |
日本古代史では、「渡来人」を、中国大陸や朝鮮半島からの移住者・定住者と定義してきた。研究の中心も8世紀以前に大きく偏っている。これは渡来人研究が、従来の帰化人研究の枠組みを引き継いだためである。しかし「渡来」の語には本来移住の意味がない。本研究は、古代における「渡来」の語義や用例を踏まえ、渡来人を古代の「倭」「日本」への移動者と再定義する。その上で、実証的な史料分析と渡来人関連地の現地調査や資料収集に基づき、渡来人の移動の始点と終点の歴史的つながりとその多様性をアジア史的視野のもとに解き明かし、国民史の克服を課題とする日本史学における渡来人研究の再構築を目指す。
|
研究成果の概要 |
日本古代の渡来人に関する研究は、従来の帰化人研究における問題関心を継承し、移民史研究として発展した。ここで重視されていたのは、国民史としての日本人論の構築である。本研究は、古代の渡来人を移動者と再定義することによって、国民史の克服を課題とする日本史学において、渡来人研究の再構築を目指した。本研究によって、これまで論争のあった「帰化」の概念の成立時期は、7世紀後半であることをほぼ確定できた。また古代史料の「帰化」には、日本列島への定住を目的としない移動者が多く含まれていたことも明らかにした。これにより、渡来人を国際的な移動者として研究することの有効性を具体的に示すことができたと考える。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在の渡来人研究には、国民史としての視角や前提が強く存在している。しかしこれまで、その問題性について自覚的に議論されたことはほとんどない。「帰化人史観」の克服を掲げて構築された渡来人研究は、帰化人研究が提起してきた帰化人像に未だ縛られているといえる。けれども、国民史と近代ナショナリズムの密接な関係性や、多様な歴史から国民史を切り取る近代の恣意性が様々に指摘される今、歴史学としての日本史研究には、国民のルーツ探しを越えて、現代「日本」を相対化し問い直す多様な「日本」史の解明が求められている。本研究によって、こうした新たな“現在的課題”に応えうる研究視点と、それに基づく実証的な研究を示した。
|