研究課題/領域番号 |
19K00991
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
日比野 利信 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (90372234)
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研究分担者 |
季武 嘉也 創価大学, 文学部, 教授 (40179099)
中村 尚史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60262086)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 石炭 / 筑豊 / 北九州 / 企業家 / ネットワーク / 政治システム / 麻生太吉 / 安川敬一郎 / 石炭資源 / 近代政治 / 中央と地方 / 北九州・筑豊 / 麻生家文書 / 安川家文書 / 炭鉱家 / 近代政治システム |
研究開始時の研究の概要 |
石炭は近代化・工業化の基礎であり、明治時代から昭和戦後のエネルギー革命まで、最重要資源であり続けた。石炭資源をめぐっては輸送インフラ整備や価格統制、産炭地対策など時代ごとに重要な政策課題であり、一貫して「政治」のテーマとなった。炭鉱家は企業家としての経済活動だけでなく「政治」にも深く関与することになった。本研究は炭鉱家の政治活動や思想・役割に注目し、石炭と政治の関係を正面に据えて、一次資料に基づいて検討するものである。時代も長期に渡り、地域も広範に想定されるため、今回は明治時代また日本有数の産炭地である福岡県筑豊地方を主たる対象として、特に豊富な資料が残る安川敬一郎と麻生太吉に注目する。
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研究実績の概要 |
昨年度は研究期間を2年延長した最終年度で、これまで同様に、九州大学の「麻生家文書」整理・研究プロジェクトと連動して、麻生家文書の調査・研究を中心に据えて、特に当主の麻生太吉日記、麻生太吉や麻生家関係者が送付した書簡の草稿集を共同で読み進めながら、麻生家文書の関連資料と、安川家文書・松本家文書の関連資料を合わせて参照する共同研究会を定期的に実施した(全4回)。合わせて、共同研究参加者が適宜麻生家文書やその他の史料調査を実施した。 共同研究会では日清戦後から日露戦後までの麻生太吉や安川敬一郎の動向について、子細に明らかにし、共有することができた。同じく筑豊炭鉱家・企業家である麻生太吉と安川敬一郎・松本健次郎は一致・協力して、鉄道・港湾などの輸送基盤の整備を中心として、筑豊石炭業全体の発展に尽力したこと、他方で、豪農出身の麻生と士族の安川、次世代の松本の考え方や行動様式の違いも見られたことを明らかにした。 全体をとおして、全国的にも屈指の質と量を誇る麻生家文書の全体像を把握し、その内容や特徴を明らかにして、①今後研究を進化させるための基盤を開拓できた。②特に日記や書簡など1次史料を子細に検討して、近代日本の工業化の過程や特徴について、工業化を担った企業家が構築した多様なネットワークとその具体的機能を明示できた。③これまで検討されることが少なかった企業家の政治的活動や役割について、福岡市政との関わりにも注目して明らかにすることができた。 同時に、同じ筑豊炭鉱家でも、豪農出身の麻生太吉と士族の安川敬一郎では個性や行動様式が異なる場合があることを改めて確認し、上記の成果をさらに深化させるための様々な論点を示すことができた。 これらの成果を報告書にまとめて、共同研究参加者や史料保存機関の関係者などに提供し、成果と情報の共有をおこなって、今後の研究につなげた。
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