• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ハリストス正教会による留学生派遣―北からのグローバリゼーションと東北の近代―

研究課題

研究課題/領域番号 19K01000
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03020:日本史関連
研究機関帝京大学

研究代表者

山下 須美礼  帝京大学, 文学部, 准教授 (90523267)

研究分担者 北原 かな子  青森中央学院大学, 看護学部, 教授 (80405943)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード近代化 / 東北 / ロシア / キリスト教 / ハリストス正教会 / 留学 / 遊学
研究開始時の研究の概要

本研究は、近代移行期にあたる明治初期に、日本のハリストス正教会がロシアに派遣した留学生の諸相を通じ、その影響と意義を地域社会の近代化という視点から検討するものである。東北の士族層を中心とした留学生と、その派遣に関わった人々を対象とし、ロシアにおける修学の実態を解明するとともに、地域社会に展開した国際的視野の在りようについて、正教会の受容と合わせて考察する。近代化を目指す当時の日本にとって、必ずしも手本ではなかったロシアとの関わりによる、「西洋化」には収斂されない北からのグローバリゼーションの可能性を探り、キリスト教が与えた影響を多面的にとらえ直すことで、地域社会の近代化過程の多様性を明示する。

研究実績の概要

ロシアでの実地調査が実質不可能となった本研究は、初年度以来、日本でも閲覧できる史料や情報を中心に調査・研究を進めてきた。
そのような史料の一つに、後に留学生となる若者の父親による日記がある。研究代表者の山下は、2022年度に活字化した本日記の翻刻の続きを、2023年度に①「資料紹介「家翁録」(二)明治一一年七月~一二月―宮城県士族ハリステアニン涌谷繁の日記―」(『帝京史学』39号、2024.3)として公表した。
研究分担者の北原は、科研費での調査の成果に基づき、②「「辺境」からみる洋楽受容と近代東北の音楽家たち」(『第一回「音楽とリベラルアーツがつむぐ地域革新」宮城学院大学キリスト教文化研究所公開シンポジウム』(招待講演)2023.11.4)、③「東奥義塾の歴史に見る津軽地方近代の国際性と先駆性」(『東奥義塾開学150周年記念式典』2023.10.20)、④「斗南藩・イタコ・青森ヒバ-青森県史近現代にみる下北地方―」(『放送大学青森学習センター公開講演会』2023.9.2)の三つの講演を行なった。
さらに北原は、⑤「東北学院大学史資料センター」(2023.11)にて調査を行い、東北出身音楽家である酒井勝軍の史料所在状況についての情報を得た。また⑥国立国会図書館調査(2023.12)において、デジタルコレクションでは閲覧不可となっている資料の調査を進めた。特に「音楽新報」は明治中期に活動した東北出身音楽家たちの論を中心に収集した。
山下も、⑦宮城県(2024.1.14-16)、⑧宮城県(2023.12.21-23)、⑨岩手県(2024.1.25-1.27)、⑩青森県(2024.3.14-3.16)において、それぞれ県立図書館での調査を行ない、同郷組織などに関する情報を収集した。
これらの調査成果も用いながら、留学帰国者の影響力などにも目を向け、引き続き検討を行なっていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ロシアでの実地調査をメインに進めていく計画の元で始まった本研究であるが、初年度(2019年)にはすでにロシアでの調査は極めて困難な状況となった。それ以降、日本国内で実施可能な資料調査のなかで研究を進展させる努力を行なってきた。留学生を送り出す出身地や家族の在りよう、後の留学につながる東京等への遊学、さらには留学生が帰ってきた後の地域社会への影響やそこでの活躍等については、これまでの資料調査により、かなりの情報が集まりつつある。一方で、研究代表者の山下が行なうとしていた『正教新報』の悉皆調査は、2023年度に終了させる予定であったが、すべて終わらせることはできなかった。
しかしこのような調査から、研究対象として追求すべき事柄や人物、史料なども新たに見出すことができてきている。その一つとして、最終年度となる2024年度に必ず調査を実施したいと見込んでいる対象もある。
これらの成果を元々の研究課題にどのように組み込み、より意義のある研究としてまとめられるかについて、研究代表者と分担者の間で頻繁に相談し、最終年度の研究計画を立て、進めているところである。

今後の研究の推進方策

主に明治期の、ハリストス正教会や東北地方に関わる日本人留学生を中心に、留学生およびその周辺の状況について、昨年度以降追加できた史料や情報の調査・分析を引き続き進める。東北の、多くは士族出身の留学生が留学を実現するにあたって、どういった経緯や周囲のバックアップがあったのか、また帰国した後に彼らがどのようなコミュニティーのなかに受け入れられ、どのような活躍の場を見出し(もしくは用意され)、そしてどういった人々との関係を作り出していったのか、史料に基づきその具体像を明らかにしていく。
同時に、ハリストス正教会の信徒だけでなく、その他の東北地方出身の、主に他のキリスト教に関わる留学生やその関係者についても、手元にある史料や情報を元に整理し、対照させていく。
また、正教会の機関誌である『正教新報』等から関連する記事を抜き出すための悉皆調査は今年度で終わらせることはできなかったので、2024年度の早い段階で完了を目指す。
そして、正教会からロシアへ留学した音楽家の金須嘉之進に関する史料が保管されているとの情報を研究分担者の北原が得たので、今後、急ぎ閲覧の許可をいただけるようコンタクトを取り、調査の実現を図る。
そして、数年にわたる研究の成果として、公にしていく。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 資料紹介「家翁録」(二)明治一一年七月~一二月―宮城県士族ハリステアニン涌谷繁の日記―2024

    • 著者名/発表者名
      山下須美礼
    • 雑誌名

      帝京史学

      巻: 39 ページ: 45-104

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 尋常小学唱歌楽曲委員楠美恩三郎 : 出自背景と音楽教育への貢献2022

    • 著者名/発表者名
      北原 かな子
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 236 ページ: 9-26

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「家翁録」(一)明治一一年一月~六月-宮城県士族ハリステアニン涌谷繁の日記ー2022

    • 著者名/発表者名
      山下 須美礼
    • 雑誌名

      帝京史学

      巻: 38 ページ: 241-311

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 旧仙台藩士による上京者への支援-明治初期の士族ハリステアニンの日記から-2022

    • 著者名/発表者名
      山下須美礼
    • 雑誌名

      帝京史学

      巻: 37 ページ: 79-111

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] ルーシー・E. H. イングとHeathen Woman’s Friend-1870年代のメソジスト派アジア伝道における宣教師夫人の活動と貢献-2021

    • 著者名/発表者名
      北原かな子
    • 雑誌名

      青森中央学院大学研究紀要

      巻: 34 ページ: 1-15

    • NAID

      120006999560

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〔研究ノート〕細谷十太夫と仙台のハリストス正教会2020

    • 著者名/発表者名
      山下須美礼
    • 雑誌名

      弘前大学国史研究

      巻: 148 ページ: 62-72

    • NAID

      120007192208

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「「辺境」からみる洋楽受容と近代東北の音楽家たち」2023

    • 著者名/発表者名
      北原かな子
    • 学会等名
      第一回「音楽とリベラルアーツがつむぐ地域革新」宮城学院大学キリスト教文化研究所公開シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「東奥義塾の歴史に見る津軽地方近代の国際性と先駆性」2023

    • 著者名/発表者名
      北原かな子
    • 学会等名
      東奥義塾開学150周年記念式典
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「斗南藩・イタコ・青森ヒバ-青森県史近現代にみる下北地方―」2023

    • 著者名/発表者名
      北原かな子
    • 学会等名
      放送大学青森学習センター公開講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 尋常小学唱歌楽曲委員楠美恩三郎―東北士族と洋楽受容―2022

    • 著者名/発表者名
      北原かな子
    • 学会等名
      京都大学人文科学研究所共同研究「近代日本と宗教と文化」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Former Samurai and Waka in Meiji Japan: Examining a Politician and Apple Industry Leader in Hirosaki2020

    • 著者名/発表者名
      北原かな子
    • 学会等名
      Annual Conference of Association for Asian Studies in Boston
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 学びの歴史像 わたりあう近代(分担:第6章)2021

    • 著者名/発表者名
      国立歴史民俗博物館編(分担執筆:北原かな子)
    • 総ページ数
      218
    • 出版者
      国立歴史民俗博物館
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi