研究課題/領域番号 |
19K01009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
細井 浩志 活水女子大学, 国際文化学部, 教授 (30263990)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 暦林問答集 / 賀茂氏 / 勘解由小路家 / 賀茂在基 / 賀茂在盛 / 賀茂保憲 / 暦道 / 陰陽道書 / 暦注 / 中原遠忠 / 陰陽道 / 東方朔 / 年中行事 / 古気候 |
研究開始時の研究の概要 |
古代・中世の陰陽道書について、特にそこに記される暦注に注目して各写本の比較と検討とを行い、どのような過程をへて今日見るテキストとなったのかを明らかにする。これによりそれぞれの陰陽道書の暦注等がどの時代に、どの地域(あるいはどのような環境)で生まれたのかを追求する。これにより暦注などに現れる古代・中世の日本の時間意識を、地域性を踏まえて明らかにする。特に史料の少ない京都・鎌倉以外の地域についても時間意識がどのように歴史的に変化したのかを追求する。さらに暦注は気候に関わる項目を多く含んでいるので、過去の気候の復元・解明に役立てることも試みる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、2021年度に紹介した新写本である古谷本『暦林問答集』について、所蔵者の許可を得て翻刻を行い、あわせて同じ賀茂在基本系統の天正13年(1585)写本である東北大学附属図書館所蔵本との字句の異同も確認した。この成果はすでに投稿して掲載が決まっている。これにより『暦林問答集』の流通に関して豊富な情報をもつ古谷本を公開して、研究者が利用できるようになる。この古谷本は、従来最良の写本とされた天理大学附属天理図書館所蔵本とかなり異なるので、天理本の親本の所持者である賀茂在盛と在基という、中世の陰陽道・暦道の有力家である勘解由小路家内の学説や学風の違いを比較検討することが可能となり、中世陰陽道の研究に有益な材料を提供することになる。また慶應義塾大学図書館所蔵の『暦林問答集』の2写本を検討した。1本は2021年度に確認したように行方不明とされていた文明16年(1484)書写本である。またもう1本は大永3年(1523)書写本と登録されているが(昨年度報告「大永2年」を修正)、実際にはそれを寛文3年(1663)に書写したものであることを確認した。またこの両写本は、ともに従来は実態が十分明らかではなかった、清原良賢本系統の写本である。これにより、本来の撰者である賀茂在方が著した『暦林問答集』の原型を復元する見通しをも持つことができた。また従来の調査研究を踏まえて、賀茂氏の祖である賀茂保憲についての実像を解明する論文を発表した。弟子の安倍晴明に比べて目立たない保憲だが、強い上昇志向があったことを見いだし,併せて新興氏族である賀茂氏が、保憲一代で陰陽道の支配氏族になり得た理由も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では広く陰陽道書の比較を行う予定ではあったが、予想外に『暦林問答集』の写本を次々と発見できたため、同書の解明を中心に進めている。また個人蔵の重要写本公開を行う目途が立ち、中村璋八氏・馬場真理子氏の成果以後、あまり研究が進んでいなかった同書の解明が進んでいるので、このように評価できると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
慶應義塾大学所蔵の清原良賢本系統の2写本の検討を進め、これまで行ってきた賀茂在基本系写本、賀茂在盛系写本との比較を行うことで、『暦林問答集』の原型とその後の展開について明らかにする。これによって、日本中世社会に流通して大きな影響を与えた陰陽道書で有名な『ホキ内伝』との比較や、古代・中世社会への陰陽道書の影響も解明することが可能になる。
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