研究課題/領域番号 |
19K01014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古井 龍介 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (60511483)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 南アジア / 中世 / ベンガル / 碑文 / 銅板文書 / シヴァ派 / 仏教 / 書記集団 / 前近代 / 識字 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、5~13世紀ベンガルの歴史に関わる、インドおよびバングラデシュで近年発見された未校訂碑文の調査・撮影・解読・校訂および上記両国と欧米各国の諸機関に収蔵された公表済み碑文の調査・撮影・再校訂を進め、その成果を口頭発表・論文の形で適宜公表して国内外の研究者からフィードバックを受けつつ、それらを集成した碑文集を編纂・出版する。この作業を通して、碑文、特に銅板に銘刻された施与証書である銅板文書に現れる前近代南アジアの文書行政と識字の特殊性を、その社会背景も含めて明らかにするとともに、それらと同時代他地域における文書・識字文化との比較により、前近代南アジアの特徴を浮き彫りにする。
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研究実績の概要 |
今年度は、新出のものを含む碑文の校訂およびXMLファイルへのコード化を進めるとともに、その成果を論文および招待講演の形で公表・報告した。また、インドで現地調査を行い、さらなる碑文史料の調査・撮影を行った。具体的にはまず、昨年度入手したデジタル写真をもとに、アシュモリアン博物館所蔵金属壷銘の再校訂・コード化を行うとともに、新出銅板文書1点および石碑1点の校訂を進めた。それらのうち、新出碑文2点については、その内容およびそこから導かれる諸論点を、カルカッタ大学およびビッシャバラティ大学で行った招待講演にて報告した。また、中世初期ベンガルにおける仏教僧院の組織的発展とその歴史的文脈についての論考、およびパーラ朝王マダナパーラのマナハリ銅板文書1点の、ほぼ120年ぶりとなる再校訂版を、それぞれ論文として公表した。さらに、パーラ朝銅板文書の形態・型式・内容とともにそれらを銘刻した書記集団の性格とその変遷を論じる論考を執筆するとともに、そこで展開された議論および新出碑文から得られた情報も加えて、5世紀から13世紀に至るベンガルの書記集団の歴史の概観を、東方学会秋季学術大会講演として発表した。 インドでの現地調査では、コルカタのインド博物館とアジア協会、グワハティのアッサム州立博物館、ラクナウの州立博物館で所蔵碑文を調査・撮影し、画像データを取得するとともに、コルカタにて個人蔵の新出パーラ朝銅板文書の調査・撮影、アッサム州マヨンにて遺跡および中世碑文の調査をそれぞれ行った。 以上に加え、昨年度行った、2件の国際学会報告を論文としてまとめ、掲載予定の論文集の編者に送付した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はようやくインドでの現地調査を再開したものの、現地での調査および資料収集が未だ不十分であり、またそれに伴い諸碑文の校訂・再校訂にも遅れが生じているため、助成期間を延長するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
取得・撮影済み画像データを用いて、未公表碑文の解読・校訂および公表済み碑文の再校訂を行いつつ、同時に碑文データベース構築作業を一層進める。その成果の一部については、9月にドイツのライプツィヒで開催される欧州南アジア考古美術学会大会および12月にインドのパトナで開催される仏教ヴィハーラと世俗性についてのワークショップにて報告を行う。合わせて、欧州およびインドにおいて調査を行う。また、未公表碑文については論文としての投稿・公表を進める。
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