研究課題/領域番号 |
19K01017
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三田 昌彦 名古屋大学, 人文学研究科, 助教 (30262827)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 14世紀 / インド / ユーラシア史 / 危機 / ラージプート / 国家形成 / 気候変動 / 開発 / ラージャスターン / ユーラシア / 14世紀の変動 / 遊動民 / 系譜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は13世紀前のラージプート国家システムと比較しつつ、刻文史料・文献史料を駆使 して、いまだ実証されていない14~16世紀のラージプートの国家形成のプロセスとその国家 システムを明らかにするものである。13世紀末ないし14世紀初頭で分断されるラージプート 研究の限界を乗り越えて、両時代の国家システムの違いを明らかにするとともに、その転換 期である13世紀末~14世紀半ばの政治的社会的変動の特質を解明することで、その国家シス テムの転換の歴史的位置づけを、デカンなど他の南アジア地域と比較しながら試みる。
|
研究実績の概要 |
本年度も引き続きコロナ禍の影響でラージャスターンでのフィールド・ワークは断念し、国内での研究活動に限定することになった。 一つは本プロジェクトの柱の一つである銅板勅書様式と国家システムとの関係について、11ー13世紀グジャラートのチャウルキヤ朝の従属諸王権が発給した銅板勅書の分析を進めた。なお分析中であるが、その成果は2024年度に公表する予定である。 もう一つは、14世紀の転換の直前までのプールタ・ダルマ刻文の分析で、デリーおよびラージャスターン北部のヒンドゥーの在地エリートが、デリー・スルターンの支配をいかに受容したかを跡づけ、14世紀の転換後のラージプートらの歴史観の変化に結びつく歴史認識上の転換の始点をこの一連の刻文に認められることを明らかにした。その成果は東洋文庫での講演および口頭報告、さらには論文「サンスクリット刻文に見えるスルターン認識」として公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れている部分は、何よりも刻文史料の収集の未完である。とりわけ14-17世紀の寺院刻文と銅板施与勅書であり、その収集のために現地ラージャスターンの寺院調査と、ラージャスターン州立文書館(State Archives, Rajasthan)に収蔵されている銅板施与勅書の調査をする必要があるが、実現できていない。また、現地大学や文書館でなければ閲覧できない、近刊の刻文関係のヒンディー語学術雑誌の調査ができていない。これらについてはおそらく1ヶ月ほどの調査で十分な収集・整理が期待できる。15-17 世紀の銅板施与勅書についてすでに収集してあるものに関しては、今年度中に英文論文が刊行される予定であるが、この調査はこの拙著を補完するものとなる。この現地調査ができていない原因はコロナ禍であり、申請者が糖尿病の持病を抱えているため、渡印に慎重であったことにある。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は年度前半では15-17世紀銅板勅書様式およびその12・13世紀からの転換を論じる英文論文(刊行元の東洋文庫の事情で遅れていたが、今年度には刊行の見通しがついた)、さらに11-13世紀グジャラートのチャウルキヤ朝銅板勅書の様式に関する論文を作成・刊行し、14世紀の変化の直前のラージプート国家システムの具体的事例を積み重ねる。 また、年度後半には渡印し、ラージャスターン北東部の寺院刻文の写真撮影とラージャスターン州立文書館での銅板勅書の調査を行う。これによってこれまで若干手薄であった14世紀以降の刻文史料の整理を進め、データベースを完成させる予定である。 同時に、本プロジェクトをまとめとして、11-14世紀のインド世界の変動の具体的な諸相とその歴史的意味について論考を作成する予定である。すでに申請者はこのテーマに関する仮説を提示しているので(「前近代南アジアの長期的展開(前5世紀-15世紀)――開発と帝国システムの転換」『南アジアの人口・資源・環境』2022年)、その論考はその後の史料分析をも含めたものとなる。
|