研究課題/領域番号 |
19K01019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森平 雅彦 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (50345245)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 朝鮮史 / 環境史 / 内水面 / 淡水魚 / 内水面環境 / 環境 / 水産資源 |
研究開始時の研究の概要 |
「朝鮮半島における内水面環境とヒトの関係史」という問題関心のもと、内水面環境からヒトが獲得してきた資源に着目し、とりわけ、ヒトが食用とする生物資源(水産資源)に重点をおいて、採捕対象と採捕法の歴史的実像を明らかにする。 具体的には、朝鮮時代から近代まで(15世紀~20世紀前半)を主な対象にして、①人びとがいかなる水産資源を利用し、②それはどこで、どのような方法で採捕されたのかという基礎情報を、様々な種類の史料文献から網羅的に収集し、魚種・地域・時代別に様相を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では朝鮮半島における内水面環境とヒトの関係史を構想する一環として、朝鮮時代~近代の内水面漁撈(生物資源利用行為)に注目し、「採捕の現場」の復元を中心にとりくんできた。前年度までに公的記録、個人日記、新聞・雑誌などから関係史料を収集し、採捕対象魚種と漁法のバリエーション、採捕施設の分布状況を具体的に把握した。また、漁撈活動の意義を環境史的に考察する一環として、公的機関による漁撈活動が、地域住民の漁撈、漁撈以外の内水面資源利用行為(空間資源、エネルギー資源、精神資源など)との間に複雑な相克を生み、水害という形で障害まで及ぼした様相を解明し、ヒトにとって自然環境がもたらす「資源」と「障害」の多義性・相対性を漁撈に即して表現した。 最終年度には内水面漁撈の具体を総括しつつ、より効果的な環境史的考察に発展させる方向性を模索した。その結果、ヒト中心の目線を脱却して、多様な立場のヒトと、ヒト以外の様々な生物種、その他の環境諸要素の複線的・重層的な関係性を開かれた系として描き出す必要性に想到した。その実験的実践として、朝鮮時代におけるアユの王室献上(進上)を素材に、採捕から流通・消費にいたる諸過程において、多様な立場のヒト(権力機関、地域住民の諸階層)、多種にわたる非ヒト(アユを捕食する水棲生物、漁具の素材となる動植物、漁獲物を運搬する馬、漁獲物保存のための発酵微生物、人体を加害する病原菌・寄生虫、漁獲物を食害する昆虫・カビ・微生物など)、その他の環境諸要素(降水、気温、氷、河川水量、地形など)の「絡まり合い」が広がる様相を描出した。このアイデアは人類学の新領域であるマルチスピーシーズ民族誌より着想を得たもので、次期研究計画の骨子となる。 また今回、これまでコロナ禍の影響で実施できなかった現地調査を実施し、如上の個別分析に関わる洛東江・蟾津江一帯の未調査地の現場状況を確認した。
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