研究課題/領域番号 |
19K01022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
橘 誠 下関市立大学, 教養教職機構, 教授 (30647938)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | モンゴル国 / 関税 / 帝政ロシア / 中国商人 / 借款 / 財政顧問 / 中国 / 釐金 / 子口半税 / 近代モンゴル / 国家財政 / 実効支配 / シリーンゴル盟 / ウラーンチャブ盟 / I.M.マイスキー / I.M. マイスキー / ボグド・ハーン / チベット人 / モンゴル独立 / ロシア / 脱税 |
研究開始時の研究の概要 |
モンゴル国は清朝の版図内にあった地域のうち、現在独立を維持している唯一の国家である。なぜモンゴル国のみが清朝滅亡後に中華民国・中華人民共和国に包含されることなく独立を達成できたのかというのは、アジア史における重要な問いの一つである。この問いに答えるために、本研究では、モンゴル国の独自財源の70%を占めていたとされる関税に注目し、その全体像を制度と実態の両面から明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、1910年代の独立国家形成期におけるモンゴル国の関税政策について、制度と実態の両面から考察した。1911年に清朝から独立を宣言して誕生したモンゴル国において、関税収入は帝政ロシアからの借款を除いた国家歳入の70%から80%を占めていたとされる。しかしながら、本研究により新たに発見されたモンゴル国所蔵の史料によれば、実際にはその割合はより高く、関税の徴収額も時間を経るごとに増加していったことが明らかになった。その背景には、規則の抜け穴をかいくぐる脱税に対し、規則を度々改定していった成果が考えられる。建国初期のモンゴル国は、財政の多くを関税に依存していたことが改めて確認されたのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの研究では、ロシア人研究者マイスキーの著作中に引用された統計を利用してモンゴル国の財政について議論してきたが、本研究では、およそ半年に一度作成されていた関税徴収額が記されたモンゴル国の公文書館所蔵史料を利用し、より正確な関税政策の実態を考察した。関税徴収額が年を経るごとに増加していった背景として、無関税特権を有していたロシア人と共謀するなどして脱税を繰り返す中国人商人を取り締まるため、関税規則がたびたび改定されていたことや、ロシアから派遣された財政顧問の活動による効果を指摘した。このようにして、モンゴル国は建国当初の国家運営に必要な財源を確保していたことを明らかにした。
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